第一次世界大戦(1914年〜1918年)において、ドイツは隣国デンマークに侵攻しませんでした。その最大の理由は、デンマークが終始一貫した中立政策を維持していたことにあります。
第一次世界大戦中のデンマーク
デンマークは開戦直後に中立を宣言し、連合国側にも同盟国側にも加担しませんでした。ドイツにとってデンマークは軍事的な脅威どころか、農産物や食料品の重要な貿易相手国でした。わざわざ兵力を割いて中立国を攻撃する動機がなかったのです。
さらに、ユトランド半島を通じてドイツ領シュレスヴィヒ=ホルシュタイン地方と陸続きであるデンマークへの侵攻は、イギリスとの関係悪化や貿易の途絶といった深刻な不利益を招く恐れがあり、ドイツの戦略上ほとんどメリットがありませんでした。結果として、両国の間で国境は閉鎖されつつも武力衝突は避けられ、デンマークは大戦を通じて中立を保ち抜きました。
注意:1940年の侵攻は第二次世界大戦
ここで混同されやすい点があります。ドイツによるデンマーク侵攻は実際に行われていますが、それは第一次世界大戦ではなく第二次世界大戦中の出来事です。1940年4月9日、ドイツは「ヴェーザー演習」作戦の一環としてデンマークとノルウェーに同時に侵攻しました。圧倒的な戦力差のためデンマーク軍の抵抗はわずか数時間で収束し、翌日には降伏が受け入れられました。この侵攻は、ノルウェー方面への進出と北大西洋の補給線確保を主目的としたものでした。
まとめ
第一次世界大戦中にドイツがデンマークへ侵攻しなかったのは、デンマークの堅実な中立政策と、ドイツにとっての経済的・戦略的な価値が大きかったためです。一方、第二次世界大戦では1940年4月9日にドイツ軍がデンマークへ侵攻し、デンマークは翌日に降伏しています。「第一次大戦」と「第二次大戦」の時期を取り違えないよう注意が必要です。