古代ローマ文明は、アメリカ合衆国の形成に多大な影響を与えてきました。物理的な物体として直接受け継がれたわけではありませんが、アメリカがローマから取り入れ、独自に発展させた概念として、次の3つが挙げられます。
1. 共和制と民主主義
アメリカの政治体制は間接民主制(代表民主制)であり、市民が選出した代表者が意思決定を行うという点で、古代ローマ共和政と共通しています。三権分立、権力の抑制と均衡(チェック・アンド・バランス)、そして市民権といった重要な考え方は、いずれも古代ローマに起源を持つものです。
2. 法体系と憲法
アメリカの法制度は、西洋社会における法の発展に絶大な影響を及ぼしたローマ法の原則を基盤としています。また、ローマの政治思想と共和政ローマの統治構造に着想を得たアメリカ合衆国憲法は、中央政府と地方自治との権力バランスを保つ連邦制度を確立しました。
3. 建築への影響
アーチやドーム(円蓋)、コンクリートの活用を特徴とするローマ建築は、アメリカの建築様式、とりわけ公共建造物や記念碑的な構造物に大きな影響を与えました。連邦議会議事堂(キャピトル)やホワイトハウスをはじめとする多くの政府庁舎には、ローマ建築の意匠が色濃く反映されています。
このように、古代ローマの遺産は政治・法律・建築という形で現代アメリカに深く根付いており、建国の父たちもまた、国家設計の際にローマ共和政を理想のモデルの一つとして参照していたのです。