キルト(kilt)は、スコットランドを代表する伝統的な民族衣装です。膝丈のスカートのような形状で、タータン(格子柄)の生地を体に巻き付けて着用するのが最大の特徴です。しかし、その発祥については「実はフランスではないのか」という説も語られています。本記事では、キルトの起源をめぐる謎に迫ります。
キルトの発祥はフランスなのか?
結論から言えば、キルトの発祥地がフランスであることを裏付ける確かな歴史的証拠は存在していません。あくまで一つの仮説として語られているにとどまります。
フランス起源説の根拠とは
フランス起源説が主張される理由の一つは、古代ケルト人の衣装との類似性です。ケルト人は古代ヨーロッパの広い範囲に分布していた民族であり、その一部は現在のフランスにあたるガリア地方にも定住していました。彼らが身につけていた布を体に巻く形式の衣装が、キルトの原型につながっている可能性がある、というのがこの説の考え方です。
歴史的にはスコットランド発祥が有力
一方、史料で確認できる限りでは、キルトの起源は16世紀頃のスコットランド・ハイランド地方にあるとされています。当時着られていたのは「フィラベグ(feileadh mòr)」と呼ばれるグレートキルトで、大きな一枚のタータン布を腰に巻き、余った部分を肩にかけて外套としても使える、極めて実用的な服装でした。
18世紀に入ると、現在のように仕立てられた短いキルトへと進化し、19世紀にはロマン主義の流行や王室の愛好もあって、スコットランドの国民的シンボルとして広く認識されるようになりました。
まとめ:キルトの故郷はスコットランド
キルトの発祥をめぐっては、古代ケルト文化とのつながりからフランス起源説が語られることもありますが、確固たる証拠はありません。現時点で最も有力な見解は、キルトがスコットランド高地地方で誕生し、長い歴史の中で育まれてきた伝統衣装であるということです。タータン柄の美しいキルトは、今なお結婚式や祝祭などの正式な場面で着用され、スコットランドの誇りとして受け継がれています。