ヨーロッパの歴史

ドイツとオーストリアの合併(アンシュルス)はヴェルサイユ条約で禁止されていた?

ヴェルサイユ条約は独墺合併を禁じていた

はい、ヴェルサイユ条約はドイツとオーストリアの合併(アンシュルス)を明確に禁止していました。第一次世界大戦後の講和条約において、両国の統合は欧州の平和に対する重大な脅威とみなされたのです。

第80条の規定内容

ヴェルサイユ条約第80条には、次のように定められています。
「ドイツは、オーストリアが連合国および関連国主要国との間で締結する条約により定められる国境の範囲内における独立を承認し、これを厳格に尊重することを誓う。また、国際連盟理事会の同意なくしては、この独立が不可侵のものであることに同意する」。

この規定が設けられた理由

この条項は、ドイツがオーストリアとの合併によって領土と勢力を拡大するのを防ぐ目的で盛り込まれました。連合国側は、両言語圏が統一されればドイツが過度に強大化し、ヨーロッパの安定を脅かすことを強く懸念していたのです。
なお、オーストリア側にも同様の制約が課せられており、同年に調印されたサン=ジェルマン条約においても、オーストリアの独立維持と独墺合併の禁止が明記されました。

条約の発効とその後の展開

ヴェルサイユ条約は1919年6月28日に調印され、1920年1月10日に発効しました。しかしその後、1933年にアドルフ・ヒトラーがドイツの政権を掌握すると、ドイツは再軍備を進めるとともに、次第に条約の枠組みから離脱していきました。
そして1938年3月、ナチス・ドイツはついにオーストリアを併合します。これは第80条の規定に明白に反する行為であり、欧州の緊張を一気に高め、翌年の第二次世界大戦勃発へとつながる重要な転換点となりました。