いいえ、当時のアメリカの人々(入植者)は連合規約(Articles of Confederation)に満足していませんでした。連合規約は非常に弱い文書であり、各州がゆるく結びついた緩やかな国家連合しか実現していませんでした。連邦政府の権限はきわめて小さく、逆に州の権限が強すぎたため、建国初期のアメリカは数多くの深刻な問題に直面することになりました。
連合規約が抱えていた主な問題点
1. 財政と国防の機能不全
連邦政府には十分な資金を調達する権限がなく、独立戦争で負った借金を返済することも、国を守るための軍事力を維持することもできませんでした。国家の存立基盤そのものが不安定だったのです。
2. 州同士の絶え間ない対立
各州は互いに争いが絶えず、場合によっては州間で武力衝突が起きることさえありました。統一国家としての結束が弱く、「一つの国」として機能しているとは言い難い状況でした。
3. 州際通商の混乱による経済停滞
連邦政府には州間の通商を規制する権限がなかったため、経済は大きな混乱に陥りました。州ごとに異なる関税や通貨政策が乱用され、商取引は著しく妨げられました。
4. 弱すぎる行政部門
連合規約には強力な行政府(執行部)の仕組みが定められておらず、法律を執行する実効的な力が存在しませんでした。このため、国家方針を一貫して推進することが極めて困難でした。
その後の展開――合衆国憲法の制定へ
これらの問題が積み重なった結果、1787年にフィラデルフィアで制憲会議が開催され、連合規約に代わる新しい枠組みとしてアメリカ合衆国憲法が制定されました。新憲法では、より強力な連邦政府、三権分立の原則、そして法律を執行できる強力な大統領職が導入され、国家としての安定と統一がようやく実現しました。
つまり、連合規約への不満こそが、今日のアメリカ合衆国憲法体系を生み出す直接のきっかけとなったと言えるでしょう。