オランダ帝国とは
17世紀、オランダは海上貿易で世界をリードする「黄金時代」を迎えました。東インド会社(VOC)と西インド会社(WIC)という二つの巨大な特許会社が世界各地に拠点を築き、その支配圏はアジア・アフリカ・アメリカ大陸・ヨーロッパへと大きく広がりました。以下では、オランダがかつて統治または支配した主な国と地域を、地域別にわかりやすくまとめます。
アジア
アジアはVOC(オランダ東インド会社)の活動拠点であり、香辛料貿易の中心として帝国にとって最も重要な地域でした。
- インドネシア – 旧「オランダ領東インド」。1949年の独立まで約300年間、オランダ植民地帝国の中核であり続けました。
- マレーシア – マラッカなどの一部地域をポルトガルから奪い、一時的に支配しました。
- シンガポール – 貿易拠点として一時的に影響下に置きました。
- ベトナム – トンキンやホイアンなどに商館を設置し、通商を行いました。
- 台湾 – 1624年から1662年まで島の南部を「フォルモサ」として統治しました。
- インド – コーチンやナーガパッティナムなどに商館を建設しました。
- スリランカ – ポルトガルに代わり沿岸部を統治しました(1656年〜1796年頃)。
- モルディブ – セイロン統治の一環として一時的に保護国化しました。
- イエメン – モカなど紅海沿岸の貿易拠点を確保しました。
アフリカ
アフリカでは、喜望峰回りの航路を支える補給基地や、大西洋奴隷貿易の拠点が各地に築かれました。
- 南アフリカ – 1652年にヤン・ファン・リーベックがケープタウンに入植。「ケープ植民地」としてボーア人(アフリカーナー)社会の基礎を形成しました。
- ナミビア – 沿岸部が一時的にオランダの影響下に置かれました。
- ガーナ – エルミナ城など、「黄金海岸」の要塞群を保有しました。
- ナイジェリア – ベニン湾岸に商館を設置しました。
- コートジボワール – 沿岸部に交易拠点を構えました。
- セネガル – ゴレ島などを一時的に支配しました。
- ガボン – 沿岸部に一時的な拠点を置きました。
- アンゴラ – ルアンダ周辺を1641年〜1648年にかけて一時占領しました。
アメリカ大陸
西半球ではWIC(オランダ西インド会社)が中心となり、北米からカリブ海、南米北部まで勢力を広げました。
- ニューヨーク(アメリカ) – 当初は「ニューネーデルラント」と呼ばれ、マンハッタン島の「ニューアムステルダム」(現ニューヨーク市)、ロングアイランド、ハドソンバレーを統治。1664年にイギリスへ譲渡されました。
- ブラジル – レシフェを中心とするペルナンブコ地方を1630年〜1654年頃支配しました(「オランダ領ブラジル」)。
- ガイアナ – ベルビセ、デメララ、エセキボの各植民地を統治し、後にイギリスへ譲渡されました。
- スリナム – 1667年以降「オランダ領ギアナ」として統治され、1975年の独立まで継続しました。
- フランス領ギアナ – 一時期、占領・支配下に置かれました。
- サン・マルタン島(シント・マールテン) – 島の南部をフランスと分割して統治。現在もオランダ王国の構成国です。
- アルバ – 1636年からオランダ領。現在もオランダ王国の構成国です。
- キュラソー – 1634年からオランダ領となり、カリブ貿易の要衝として栄えました。
- ボネール – 現在もオランダの特別自治体です。
- シント・ユースタティウス – 18世紀には「黄金の岩」と呼ばれた繁栄した貿易港でした。
- サバ島 – 現在もオランダの特別自治体です。
ヨーロッパ
ヨーロッパにおいても、オランダは自国および周辺地域に支配権を及ぼしました。
- オランダ – 帝国の中核。ネーデルラント連邦共和国として黄金時代を築きました。
- ベルギー – 歴史的に南ネーデルラントとして深い関わりがあり、1815年〜1830年にはオランダ王国に編入されました。
- ルクセンブルク – 1815年〜1839年、オランダ国王がルクセンブルク大公を兼任しました。
- フランス領フランドル – 現在のノール=パ=ド=カレー地方。歴史的にオランダ語圏との繋がりが深い地域です。
まとめ
オランダ帝国の足跡は、インドネシアやスリナムのような長期にわたる植民地から、ニューヨークのように短期間ながら後世に多大な影響を残した土地まで、実に多岐にわたります。現在でもアルバ、キュラソー、シント・マールテンなどはオランダ王国の構成国であり、かつての帝国の歴史は、今日のオランダとこれらの地域との関係にも色濃く受け継がれています。