第二次世界大戦期、ノルウェーがソ連(ロシア)ではなくナチス・ドイツによって侵攻されたことは広く知られています。では、なぜロシアはノルウェーを占領しなかったのでしょうか。その背景には、戦略的な事情、地理・気候条件、現地の抵抗運動、そして連合国の動向など、複数の要因が複雑に絡み合っています。本記事では、その理由を4つの視点から詳しく解説します。
1. 戦略的重要性の欠如
ソ連にとってノルウェーは、バルカン半島やバルト諸国ほどの戦略的価値を持つ地域とはみなされていませんでした。ソ連の第二次世界大戦における主な目的は、西側国境の安全確保と東欧における勢力圏の確立にあり、ノルウェーはこれらの目標を達成するうえで不可欠な存在とは考えられていなかったのです。
2. 過酷な地理と気候
ノルウェーは山岳地帯が多く、気候も非常に厳しい国です。仮に侵攻・占領作戦を実施したとしても、ソ連軍にとって極めて困難な任務となったでしょう。さらに、長大な海岸線と数多くのフィヨルドは国土全体を支配することを難しくし、一年の大部分を占める悪天候も軍事作戦の大きな妨げになると予想されていました。
3. ノルウェー人による強固な抵抗運動
ノルウェーには、1940年4月のドイツ軍侵攻直後に結成された、強力かつ組織化されたレジスタンス運動が存在しました。彼らはドイツ軍の補給線や通信網を効果的に妨害し、連合軍に対して貴重な情報を提供し続けました。このような抵抗運動の存在は、仮にロシアが侵攻していた場合でも、占領と統治を一層困難にしたはずです。
4. 連合国による介入
アメリカとイギリスは、ノルウェーがソ連の支配下に置かれることを強く警戒しており、ノルウェーのレジスタンス運動に多大な支援を提供していました。1944年には連合軍がノルマンディー上陸作戦(オーバーロード作戦)を発動し、ドイツの戦力をノルウェー方面から引き離すことに成功します。この結果、ノルウェーは西側連合国の影響圏として確保されることになりました。
まとめ
ロシア(ソ連)がノルウェーを占領しなかったのは、同国の戦略的重要性の低さ、険しい地形と過酷な気候、ノルウェー人による強い抵抗運動、そして連合国による介入といった複数の要因が組み合わさった結果といえます。歴史のifを考えるうえでも、地理的条件と国際情勢が国家の運命を大きく左右した好例と言えるでしょう。