シェーア艦隊、第5戦艦戦隊を包囲
西方から主力艦隊を率いて進撃するシェーア提督は、ヒッパーを追撃していたイギリス第5戦艦戦隊と遭遇した。彼は艦隊を二手に分け、敵の4隻を包囲した。先頭のマラヤはポンメルンに砲撃を浴びせ、同艦を炎上させた。エヴァン=トーマス提督が指揮するヴァリアント、バーラム、ウォースパイトも危機的状況を悟り、自由射撃を開始した。数発の砲弾がグローサー・クルフュルストとマルクグラーフに命中し、ポンメルンは沈没した。
イギリス艦隊は勇猛に戦い続けたが、45分後に戦域の反対側へ抜け出したときには、すでに致命的な損害を受けていた。主砲は沈黙し、甲板は死傷者で覆われていた。どうやらシェーアはとどめの一撃をあえて遅らせたようである。彼はまだ西方にグランドフリート(イギリス本国艦隊)が存在することを知らず、知らずのうちに史上最大の海戦の舞台を整えつつあった。その時、突然、警戒サイレンが再び鳴り響いたのである。
夕暮れの中で現れたグランドフリート
東へ急行するヒッパーは煙に気づき、偵察のためデアフリンガーを派遣した。同艦は「敵艦隊接近」の信号を送ってきた。ヒッパーが再び北へ針路を取ると、またしても煙を目撃した。今度はシェーアの艦隊であり、ヒッパーが陣形を整えようとしたまさにその時、北方にグランドフリートが姿を現した。そして、長かった一日がようやく暮れ始めたのである。
南西の雲間からフッド少将の3隻の巡洋戦艦が現れ、ドイツ艦隊の進路上に割り込んだ。彼らは沈みゆく夕日を背にして、黒々としたシルエットをさらしていた。デアフリンガーとケーニヒの集中砲火により、フッド艦隊の旗艦インヴィンシブルは煙る残骸へと変わり果てた。乗員が救命ボートへ殺到する最中、インヴィンシブルは大爆発を起こして沈没した。インフレキシブルとインドミタブルは、西方のグランドフリートへと後退していった。
誤認による悲劇的な友軍誤射
旗艦アイアン・デュークの艦橋からインヴィンシブルの爆発を目撃したジェリコー提督は、煙と薄れゆく光のために、それをドイツ艦と誤認したらしい。そこで彼は、接近してくる2隻への砲撃を命じた。不幸なことに、その2隻こそインフレキシブルとインドミタブルだったのである。両艦は、ジェリコーが自らの過ちに気づくまでに甚大な損害を被った。だが時すでに遅く、2隻は十字砲火に捕らえられていた。必死の脱出を図って南への逃走を選んだものの、インフレキシブルは炎に包まれてしまった。
夕日が味方したドイツ艦隊の猛砲撃
フッドの不運な巡洋戦艦の場合と同じく、沈みゆく夕日はドイツ艦隊にとって格好の照準助けとなり、敵の目標を鮮明に浮かび上がらせた。見事な連携で放たれるドイツ艦隊の一斉射撃は壊滅的な威力を誇り、HMSウォーリアはたちまち、燃え上がる燃料油の海に取り囲まれたのである。