ラエトリ遺跡とは
ラエトリ(Laetoli、別表記:Laetolil)は、タンザニア北部に位置する古人類学および考古学の著名な発掘遺跡です。人類起源研究において欠かせないもう一つの重要な場所であるオルドバイ渓谷から、約40キロメートル離れた地点にあります。
アウストラロピテクス・アファレンシスの発見
1978年、メアリー・リーキー率いる調査チームは、それまでにホミニン(人類の系統)の化石が数多く出土していた場所の近くで、Australopithecus afarensis(アウストラロピテクス・アファレンシス)の化石を発見しました。
ラエトリで出土したこれらの化石は、約376万年前から346万年前の時期に属するもので、少なくとも23個体分に及びます。その内訳は、歯や顎の形状を示す標本、そして断片的ながら貴重な乳児の骨格などから構成されています。
約356万年前の人類の足跡
ラエトリ最大の発見といえるのが、約356万年前の火山性堆積層の中に奇跡的に保存された人類の足跡です。この足跡群には、人類のものだけでなく、数多くの動物の足跡も含まれており、太古の大地を歩いた生物たちの姿を今に伝える世界的に稀有な記録となっています。
ハダールとの関係と人類進化への意義
A. afarensis としては、エチオピアのハダール遺跡で出土した標本が最もよく知られています。しかし、ラエトリの足跡は、初期人類がすでに直立二足歩行を行っていたことを直接裏付ける証拠であり、人類進化の研究史上、金字塔的な重要性を持つものと評価されています。
ホモ・サピエンスの化石も出土
さらに注目すべきことに、ラエトリでは約12万年前の地層からHomo sapiens(ホモ・サピエンス=現生人類)の化石も発見されています。数百万年前から後期更新世に至る長い時間のスパンにわたって人類の痕跡が重なり合う、きわめて特異な遺跡だといえるでしょう。