フランクリン(Franklin)は、1785年から1790年にかけて、現在のアメリカ合衆国テネシー州東部に存在した非公式の州(未承認の州)です。その領域は今日のテネシー州東部を含み、さらに西側の「未帰属」とされた地域にまで及んでいました。
フランクリン誕生の背景
この短命な州が生まれた主なきっかけは、ノースカロライナ州が自州の西部の土地を合衆国へ譲渡したことにあります。当時、辺境の山岳地帯に暮らす開拓者たちは、州から事実上放置され、ほとんど顧みられない状況に置かれていました。そこで彼らは、自らの生活を守り、地域を統治するために、立法や行政を行う自治組織を結成しました。
また、先住民(インディアン)による襲撃の危険に常にさらされていたため、即応できる民兵組織も欠かせませんでした。ノースカロライナ州が、これら遠隔地の入植地を守る重い負担から解放されようと動く中、開拓者たちは代表者を選出し、新しい州を設立すべきかどうかを協議する会議を開催しました。
ジョン・セビア率いる「フランクランダー」たち
「フランクランダー(Franklanders)」と自称した彼らは、ジョン・セビア(John Sevier)を指導者とする役員を選出し、独自の政府を樹立しました。セビアは後にテネシー州の初代知事となった人物で、フランクリン唯一の知事でもありました。
フランクリンの解体とその後
しかし、指導者間の個人的な対立をはじめとするさまざまな要因により、フランクリンの体制は次第に崩壊していきました。そして1790年、連邦政府が南西部準州(Southwest Territory)を創設すると、この地域は実質的に再編成され、フランクリン政府はここに幕を閉じました。この土地はその後、1796年にテネシー州として合衆国に加盟することになります。フランクリンはわずか数年ほどの短い命でしたが、アメリカの辺境開拓史における自治への挑戦を物語る興味深い例として知られています。