結論:使用を裏付ける史料は確認されていない
マラーター帝国の治世において、マンサブダーリー制の中で「ダービスト(Dah Bist)」原則が実際に用いられたことを示す証拠は、現存する歴史史料からは確認されていません。
ダービスト原則とは何か
ダービスト原則は、ペルシア語の数詞「ダー(dah=10)」と「ビスト(bist=20)」に由来する概念です。これは主にムガル帝国のマンサブダーリー制に関連しており、マンサブダール(位階を与えられた貴族・武将)が率いる騎兵の等級区分や俸給計算を、10人単位・20人単位で行う方式として知られています。
マンサブダーリー制とマラーター政権の関係
マンサブダーリー制そのものは、ムガル帝国の皇帝アクバルによって整備された軍事・行政階級制度であり、ザート(zat)とスワール(sawar)という二つの等級によって、官僚・将校の地位と騎兵徴募の義務が定められる仕組みでした。
一方、マラーター帝国は独自の行政・軍事組織を発展させた政権であり、ムガル帝国の制度をそのまま継承・採用したわけではありません。そのため、マラーター政権下のマンサブダーリー的な仕組みにダービスト原則が適用されたと断定できる一次史料は見つかっていないのが実情です。
まとめ
ダービスト原則はあくまでムガル帝国のマンサブダーリー制と結びついた概念であり、マラーター帝国の治世においてこれが使用されたことを裏付ける確かな証拠は存在しない、というのが現在の歴史研究における一般的な見解です。