中世イングランドにおいて、ピンダー(pinder)は、村の共有地や農地に迷い込む家畜を管理する役目を担う人物でした。当時の村落では、牛や羊などの家畜が勝手に放牧地や耕作地へ入り込み、作物に被害をもたらすことが日常的な問題でした。そこで、こうした迷い畜を取り締まる専門の役職が必要とされたのです。
「パウンド」と呼ばれた囲い場の設置
ピンダーの主な仕事は、「パウンド(pound)」と呼ばれる構造物の設置・管理でした。パウンドとは、壁で囲まれ、門のついた小さな閉鎖的な囲い場のことです。ピンダーは、立ち入りが禁じられた区域を徘徊している動物を発見すると、これを捕らえてパウンドの中に収容しました。
解放料による収入の仕組み
収容された家畜は、飼い主が所定の解放料を支払うまで留め置かれました。このようにして集められたお金は、囲い場の維持・管理費用や、ピンダー自身の報酬として充てられていました。つまりピンダーとは、村の秩序を守りながら、その運営資金を自ら賄うという実務的な役割を果たしていたのです。
語源に見る仕事の本質
なお、ピンダーという呼び名は、古英語の「pyndan(囲い込む)」に由来する「ピンフォールド(pinfold)」=家畜の囲い場に関連する言葉だとされています。名前の由来そのものが、迷い畜を「閉じ込める」という仕事の核心を表しているといえるでしょう。