18世紀半ばの1750年頃、ヨーロッパでは国ごとにまったく異なる貨幣体系が使われており、金銀銅のさまざまな硬貨が日常的に流通していました。貿易や旅行の際には両替が不可欠で、各国のコインの価値を理解することは非常に重要でした。ここでは、当時の主要国ごとに流通していた代表的なコインを紹介します。
イギリス(グレートブリテン)
イギリスでは、12ペンスが1シリング、20シリングが1ポンドという十二進法と二十進法を組み合わせた独特な貨幣制度が長く続いていました。
- ペニー(Penny) – 銅製の最小級の実用硬貨
- ハーフペニー(Halfpenny) – ペニーの半分の価値を持つ銅貨
- ファージング(Farthing) – ペニーの4分の1に相当する小額銅貨
- シックスペンス(Sixpence) – 6ペンス銀貨で、シリングの半分の価値
- シリング(Shilling) – 12ペンスに相当する銀貨
- 2シリング(Two Shillings) – 後に「フローリン」とも呼ばれる銀貨
- クラウン(Crown) – 5シリングの価値がある大型銀貨
- ハーフクラウン(Half Crown) – 2シリング6ペンスの銀貨
フランス
フランス革命以前の旧体制期には、リーブルを中心とした複雑な貨幣体系が存在しました。
- ドゥニエ(Denier) – 中世から続く古い小額銅貨
- リアール(Liard) – ドゥニエ3枚分の価値を持つ銅貨
- スー(Sou) – 12ドゥニエに相当し、日常取引の基本単位
- リーブル(Livre) – 20スーで構成される計算単位
- エキュ(Ecu) – 高額決済に使われる大型銀貨
スペイン
スペインは新大陸からの銀の流入により、世界的に影響力の大きな通貨圏を形成していました。
- マラベディ(Maravedí) – 古くから使われる最小級の銅貨
- オチャボ(Ochavo) – 小額の日常取引向け銅貨
- クアルト(Cuarto) – マラベディ数枚分の価値を持つ銅貨
- レアル(Real) – 広く信頼された銀貨で、国際貿易でも重宝された
- エスクード(Escudo) – 高価値の金貨
ポルトガル
ポルトガルでは、植民地貿易とともに独自の貨幣単位が発達しました。
- レイス(Réis) – 計算の基礎となる最小単位
- ヴィンテン(Vintém) – 20レイスに相当する銅貨
- トスタオン(Tostão) – 100レイスの価値を持つ銀貨
- エスクード(Escudo) – 高額面の貨幣単位
オランダ
17世紀以来、世界金融の中心だったオランダは、安定した貨幣体系を誇っていました。
- ドゥイト(Duit) – オランダ本国や東インドで使われた小額銅貨
- ストゥイーフェル(Stuiver) – 日常取引の中核となる銀貨
- グルデン(Gulden) – 20ストゥイーフェルで構成される主要通貨
ドイツ(神聖ローマ帝国諸邦)
当時のドイツは多数の領邦国家に分かれており、地域ごとに異なる硬貨が鋳造されていました。
- プフェニング(Pfennig) – 最小の補助通貨
- グロッシェン(Groschen) – 中堅の価値を持つ銀貨
- ターラー(Thaler) – 国際的な信用を得ていた大型銀貨
イタリア(各都市国家)
統一前のイタリアでは、ヴェネツィアやフィレンツェなどの都市国家がそれぞれ独自の通貨を発行していました。
- クアトリーノ(Quattrino) – 小額の日常用銅貨
- ソルド(Soldo) – 中間的な価値を持つ銀貨
- リラ(Lira) – 都市ごとに価値が異なる計算単位
ロシア
ピョートル大帝の改革以降、ロシアは西欧式の十進法通貨体系へと移行しつつありました。
- ポルーシカ(Polushka) – カペイクの4分の1という最小級銅貨
- カペイク(Kopek) – 100カペイクで1ルーブルとなる基本単位
- ルーブル(Ruble) – ロシアの主要通貨単位
まとめ
1750年頃のヨーロッパの通貨は、国だけでなく地域によっても価値や名称が大きく異なり、非常に多様でした。こうした硬貨の多くは現在では収集家の間で高い人気を誇る歴史的資料となっています。当時の貨幣を知ることは、18世紀の経済や人々の生活を理解するうえで貴重な手がかりとなるでしょう。