古代の歴史

1850年代と1890年代、奴隷の扱いはどう異なっていたのか?――奴隷制廃止前後のアメリカ

1850年代:奴隷制が合法だった時代

1850年代のアメリカでは、奴隷はあくまで「財産」とみなされ、法的な権利を一切持っていませんでした。奴隷は財産を所有することも、契約を結ぶことも、さらには法廷で証言することさえ許されなかったのです。

奴隷たちは日常的に暴行や拷問、性的虐待を受けていました。加えて、食料・衣類・住居といった生活の基本すら十分に与えられないことも珍しくありませんでした。

また、奴隷の売買によって家族が引き裂かれる悲劇も頻繁に起こっていました。子どもが親のもとから売り離されたり、夫婦が別々の所有者の下へ売られたりする例は後を絶ちませんでした。

当時、奴隷制はアメリカ南部諸州とコロンビア特別区で合法とされていました。特に1850年に成立した「逃亡奴隷法」は、自由州に逃げ込んだ奴隷であっても、すべての市民にその捕獲と所有者への返還協力を義務付ける、非常に厳しい法律でした。

1890年代:奴隷制廃止後も続いた差別

1865年の南北戦争終結により、アメリカにおける奴隷制は正式に廃止されました。しかしその後も、奴隷制の負の遺産は消えることなく、アフリカ系アメリカ人の暮らしに深い影を落とし続けました。

アフリカ系アメリカ人は、雇用、住宅、教育、投票など、生活のあらゆる場面で差別に直面していました。さらに、白人至上主義者による暴力や脅迫にもさらされるなど、安全な生活すら脅かされていたのです。

多くの州では、人種隔離を強制する「ジム・クロウ法」が施行されていました。これらの法律により、アフリカ系アメリカ人が本来持つべき権利や機会を行使することは、極めて困難な状況に置かれていました。

そうした中、19世紀後半に入ると、アフリカ系アメリカ人は組織的に団結し、公民権を求めて声を上げ始めます。この動きはやがて1950年代から1960年代の公民権運動へと発展し、アメリカにおける法的な人種隔離と差別の撤廃という大きな成果をもたらすことになったのです。