私たちが今日知っているような「時計」、すなわち携帯できる小型の時計は、16世紀に初めて開発されました。最も古い時計とされるものは、1504年頃にドイツ・ニュルンベルクの鍛冶職人(錠前師)であるペーター・ヘンライン(Peter Henlein)によって作られたと伝えられています。
携帯時計の誕生:ペーター・ヘンラインの功績
ヘンラインは、当時の最新技術であったゼンマイ(ぜんまいばね)を動力源とする駆動機構を実用化した人物として知られています。それまでの機械式時計は、重り(分銅)を吊るして歯車を回す仕組みだったため、どうしても大型になってしまいました。しかしゼンマイの登場により、重りを使わない小型の時計が可能となり、初めて「持ち運べる時計」が誕生したのです。
ヘンラインが制作した球状の携帯時計は、後に「ニュルンベルクの卵」という名で呼ばれるようになりました。貴族や富裕層の間で珍重され、携帯時計文化の始まりとなりました。
それ以前の時計の歴史
そもそも機械式時計そのものの起源はさらに古く、13世紀末から14世紀初頭にかけて、ヨーロッパの教会や市庁舎の塔に設置される大型の機械式時計が登場していました。また、それ以前には日時計や水時計、砂時計など、太陽や水・砂の力を利用した時計が古代から使われてきました。
懐中時計から腕時計へ
ヘンライン以降、時計技術はスイスなどを中心に大きく進歩し、17世紀から18世紀にかけて懐中時計が一般に普及しました。さらに19世紀後半から20世紀初頭になると、実用性の高い腕時計が登場し、現在のような多様な時計の時代へと発展していきました。
このように、時計の発明は一つの出来事ではなく、長い歴史の中での技術革新の積み重ねによるものですが、その原点として、1504年頃のペーター・ヘンラインによる携帯時計の制作が広く認められています。