結論から言えば、チナンパは現代でも実際に使われています。ただし、かつてのような大規模な利用は大幅に減少し、現在ではごく一部が稼働しているにとどまります。
チナンパとは何か
チナンパとは、湖沼の浅瀬に泥と植物を積み重ねて人工的に造られた島状の耕作地で、「浮き畑」とも呼ばれます。アステカ帝国の時代、テスココ湖などの湖沼地帯で発展し、当時の首都テノチティトランを支える重要な食糧生産基盤となっていました。
現代におけるチナンパの姿
今日、チナンパが最もよく保存されているのは、メキシコシティ南部のソチミルコ地区です。この一帯は運河と浮き畑が残る貴重な景観として評価され、ユネスコの世界遺産にも登録されています。
稼働数は減少したものの、現役のチナンパでは今もさまざまな作物が栽培されており、特に以下の生産で実用性を発揮しています。
- 野菜:レタスやハクサイなどの新鮮な葉物野菜
- 花卉:マリーゴールドなど、メキシコシティの市場向けの花
- ハーブ類:料理や薬用に使われる各種ハーブ
減少した理由と今後の展望
都市化の進行による水質汚染や地下水の枯渇、農業従事者の高齢化などが、チナンパの衰退を招いてきました。それでも、持続可能で環境負荷の少ない農法として再評価の動きがあり、伝統技術の保存と観光資源としての活用が並行して行われています。
数は少ないものの、チナンパが今なお作物を育み続けていることは、アステカ以来の知恵が持つ不朽の価値と実用性を物語っています。古代の農法が現代の食卓につながっているという点で、チナンパは世界農業史上きわめてユニークな存在と言えるでしょう。