古代の歴史

古代エジプトの「紙」の秘密 ― パピルスはどうやって作られたのか?

古代エジプト人が「紙」を発明した――これはよくある誤解です。実は、古代エジプト人が使用していたのは、現代の紙とは異なる、パピルスと呼ばれる筆記材料でした。

パピルスとは何か

パピルスは、ナイル川の流域や湿地帯に自生するカヤツリグサ科の水生植物「パピルス草(学名:Cyperus papyrus)」の茎から作られた筆記材料です。茎の髄を薄く削いで細長い帯状にし、それらを縦横に交互に重ねて強く圧着し、乾燥させて仕上げます。こうして完成した表面はなめらかで、インクで文字を書くのに非常に適していました。

現代の紙との違いと深い関係

パピルスはあくまで植物の茎を加工したものであり、木材パルプを原料とする現代の紙とは製法がまったく異なります。しかし、「paper(紙)」という英単語自体が「papyrus」に由来しているほど、両者には深いつながりがあります。

紀元前3000年頃から使われ始めたパピルスは、その後数千年にわたり地中海世界の主要な筆記材料として君臨し、行政文書、宗教経典、文学作品など、膨大な知識を後世へと伝える重要な役割を果たしました。古代エジプト文明の記録が今日まで残されているのは、この優れた筆記材料のおかげだといえるでしょう。