黄帝の妃・嫘祖(らいそ)の伝説
絹づくりの起源として最も広く知られているのは、紀元前2640年ごろの古代中国にさかのぼる伝説です。伝説上の帝王である黄帝(こうてい)の后・西陵氏(せいりょうし)――すなわち嫘祖(らいそ)――が、ある偶然の出来事をきっかけに絹を発見したと語り継がれています。
ある非常に暑い日、嫘祖が庭園を散策していると、数個の白い繭が木の枝から落ちて、彼女の足元に転がりました。不思議に思った彼女が観察していると、繭は目の前でほどけていき、艶やかで豪華な繊維が現れたのです。
嫘祖はすぐさまその繊維を使った織物の実験を開始しました。試行錯誤を重ねた末、ついに柔らかく美しい絹糸を作り出すことに成功します。そして皇后は、その技法を自ら周囲の人々に教え広めたと伝えられています。以来、嫘祖は養蚕の神として崇められ、その功績は今日まで長く語り継がれてきました。