古代の歴史

カナダ・カトリック教会が先住民児童に加えた寄宿学校での残虐行為とは?10の実態を解説

カナダのカトリック教会は、19世紀後半から20世紀にかけて同国で運営された寄宿学校(レジデンシャル・スクール)制度において中心的な役割を果たし、先住民の子供たちに計り知れない苦しみと虐待をもたらしました。150年以上にわたり、推定15万人以上の先住民児童が家族から引き離され、これらの施設に強制的に入れられたとされています。

本記事では、寄宿学校制度においてカトリック教会が関与したとされる残虐行為を10の観点から整理し、その歴史的背景と現代への影響について解説します。

背景:カナダの寄宿学校制度とは

カナダの寄宿学校制度は、先住民の子供たちを欧州系カナダ人社会へ同化させることを目的とした国家政策でした。連邦政府とカトリック教会、聖公会、合同教会などの宗教団体が協力して運営し、そのうち約6割から7割をカトリック教会が担っていたとされます。

2015年には、カナダ真実と和解委員会(TRC)が最終報告書の中で、この制度を「文化的大量虐殺(カルチュラル・ジェノサイド)」と認定しました。さらに2021年には、かつての寄宿学校敷地から無標識の子どもたちの墓が相次いで発見され、国際的な衝撃と議論を巻き起こしました。

カトリック教会が関与した10の残虐行為

1. 身体的虐待

寄宿学校の子供たちは、殴打や鞭打ちをはじめとする体罰を日常的に受けていました。罰の理由は、些細な規則違反や、母語を話したことであることも少なくありませんでした。

2. 性的虐待

多くの子供たちが、司祭、修道女、その他の職員による性的虐待の被害を受けました。不適切な接触から性的暴行に至るまで、その内容は深刻で、生存者に生涯消えない心の傷を残しました。

3. 精神的虐待

子供たちは言葉による暴力、隔離、屈辱といった精神的虐待にさらされました。劣等感や無価値感を植え付けられ、自らの文化や出自は一貫して貶められました。

4. 文化的ジェノサイド

寄宿学校制度は、先住民の言語、文化、伝統を根絶することを意図して設計されました。子供たちは母語を話すこと、伝統的な儀式を行うこと、文化的アイデンティティを表現することを厳しく禁じられました。

5. ネグレクト(育児放棄)

施設内の子供たちは、食料、衣類、医療といった基本的な生活必需品から切り離され、放置されることが多くありました。こうした怠慢は栄養失調や疾病、そして死につながることもありました。

6. 栄養失調

寄宿学校で提供される食事は、量・質ともに著しく不十分でした。子供たちは慢性的な空腹に苦しみ、栄養失調が広く蔓延していました。一部の施設では、栄養状態の悪い子供たちを使った非倫理的な栄養実験が行われたことも明らかになっています。

7. 医療的ネグレクト

病気になった子供たちが適切な医療ケアを受けられないケースが多発しました。結核などの感染症が施設内で広がっても十分な対応が取られず、不必要な苦しみや死を招きました。

8. アイデンティティの喪失

制度の目的はあくまで同化であり、子供たちは家族との交流を断たれ、名前や言語、信仰までも奪われました。その結果、多くの人が帰属する場所を見失い、長年にわたるアイデンティティの喪失に苦しむことになりました。

9. 強制労働

多くの子供たちが、農作業、家事労働、その他の重労働を強制されました。これは教育という名目の下での経済的搾取であり、先住民コミュニティ全体の疲弊にもつながりました。

10. 責任の回避

長きにわたり、カトリック教会をはじめとする運営主体は、施設内で起きた虐待に対する法的・道義的責任を回避し続けました。賠償や謝罪は大幅に遅れ、生存者とそのコミュニティに永続するトラウマと痛みを深める結果となりました。

教会の謝罪と現在の動き

2022年7月、教皇フランシスコはカナダを訪問し、カトリック教会の一部の信者・関係者の行為について先住民に謝罪しました。ただし、教会が求められてきた賠償金の支払いや資料の全面開示については、依然として不十分だという批判の声が根強く残っています。

現代に続く影響

寄宿学校制度の負の遺産は、今日なおカナダの先住民コミュニティに深い影を落としています。多くの生存者が心的外傷後ストレス障害(PTSD)、うつ病、依存症に苦しみ、世代を超えたトラウマ(世代間トラウマ)も指摘されています。

寄宿学校制度が先住民族に刻んだ傷跡は決して小さなものではなく、その癒しには何世代もの時間と、社会全体の継続的な向き合いが必要とされています。