古代の歴史

ハロルド・ゴドウィンソンは戦場へどのような軍どのような軍勢を率いて臨んだのか?

1066年、ノルマンディー公ギヨームとの対決に臨んだイングランド王ハロルド・ゴドウィンソン。彼が率いた軍勢は、どのような人々によって構成されていたのでしょうか。ここでは、ハロルド軍の中核を担った三つの戦力について解説します。

主力を担った民兵「フュアード(Fyrd)」

ハロルド軍の大部分を占めていたのは、イングランド各地から召集された民兵「フュアード(Fyrd)」です。彼らは平時には農民として暮らす半農半兵の人々で、戦時に国王の徴集に応じて駆けつけました。その武装は比較的簡素で、主に槍、剣、斧を携え、防具としては革製の軽装鎧を身につける程度でした。数こそ多かったものの、装備の質には大きなばらつきがありました。

精鋭の親衛隊「ハスカール(Huscarls)」

フュアードと並んで重要な役割を果たしたのが、職業戦士による親衛隊「ハスカール(Huscarls)」です。彼らは王室や高貴なセーン(Thegn、貴族層)に仕える常備の護衛戦士であり、かなりの数が戦列に加わっていました。使用する武器自体はフュアードと同様でしたが、その違いは防具にありました。ハスカールは上質な鎖帷子(メール・ホーバーク)と、頭部を覆う鎖網の兜を完備しており、防御力において民兵たちを大きく上回っていたのです。

戦況を左右した騎馬部隊

さらにハロルドは、セーンとその従者たちから成るとみられる騎乗の騎士部隊も保有していました。当時のイングランド軍は歩兵中心の戦術が主流でしたが、こうした騎兵の存在は、戦いの序盤において決定的な優位をもたらす切り札となりました。

このようにハロルド軍は、数で圧倒する民兵、質で勝る親衛隊、そして機動力のある騎兵という多様な戦力を組み合わせた編成でした。しかし、長距離の強行軍と疲労、そしてノルマン騎兵の戦術の前に、ヘイスティングスの戦いでは歴史的な敗北を喫することとなります。