インダス文明を代表する都市遺跡「モヘンジョダロ(Mohenjo Daro)」。現在のパキスタン・シンド州に位置し、紀元前2500年頃に栄えたこの遺跡には、少し不気味にも聞こえる「死者の塚」という意味の名前が付けられています。なぜこのような名前が付けられたのでしょうか。その由来と、名前の裏に隠された真実を解説します。
名前の由来はシンド語「モエン・ジョ・ダロ」
「モヘンジョダロ」という名称は、現地の言語であるシンド語の「モエン・ジョ・ダロ(Moen jo Daro)」に由来し、直訳すると「死者の塚」を意味します。この遺跡は1980年にユネスコの世界遺産にも登録されており、インダス文明最大級の都市遺跡として世界的に知られています。
地元の人々が名付けた理由
この名前が定着したきっかけは、1920年代に始まった初期の発掘調査です。発掘作業の過程で、遺跡から大量の人骨が発見されました。無数の白骨が眠る丘を目にした地元の人々は、この場所を「死者の塚」と呼ぶようになったのです。
実は「誤称」だった「死者の塚」
ところが、この名前は実は誤称(ミスノーマー)であることがわかっています。発見された人骨は、戦争や虐殺といった人為的な災厄によるものではなかったのです。研究によれば、これらの人骨の多くは、遺跡を襲った壊滅的な洪水によって命を落とした人々のものであると考えられています。
つまり、モヘンジョダロは「死者の塚」という名前に反して、争いの跡地ではなかったのです。古代都市の滅亡の謎を物語るこの名前は、発掘当初の印象から生まれたものといえるでしょう。