考古学的発見

ローマ水道橋の中で最も高い「ポン・デュ・ガール」——48.8メートルの三層アーチ橋の驚異

西暦1世紀前半、現在のフランス南部において、ウゼスにあるフォンテーヌ・デュールの泉からローマの植民都市ネマウスス(現ニーム)へ水を運ぶため、全長約50キロメートルにおよぶニーム水道が建設されました。

なぜ50キロもの迂回ルートなのか

実は、水源とニームを結ぶ直線距離はわずか20キロメートルほどです。しかし、ニーム周辺に広がるガリグ・ド・ニームの山麓地帯を避けるため、水道の経路は大きく蛇行する形で計画されました。

ガルドン川を越えるために生まれた大橋

現在のヴェール=ポン=デュ=ガール近郊では、水道はガルドン川を横断する必要がありました。この課題を解決するために建てられたのが、三層のアーチを備える橋梁です。全高は48.8メートルに達し、現存するローマの水道橋の中で最も高い構造物となっています。これこそが「ポン・デュ・ガール」です。

ローマ水道橋の中で最も高い「ポン・デュ・ガール」——48.8メートルの三層アーチ橋の驚異

地下を走る35キロの水路網

全ルートのうち約35キロメートルは地中に建設されました。溝を掘り、そこに石造りの水路を築いたうえで、石板によるアーチ状の屋根で覆い、さらに土で埋め戻すという工法が取られました。一部の区間では、岩盤を直接掘削したトンネルも用いられています。

1日4万立方メートルの給水と驚異的な緩勾配

古代には、この水道は1日あたり約4万立方メートルの水をニームの噴水、公衆浴場、そして市民の住居へと供給していました。特筆すべきは、起点から終点までの高低差がわずか12.6メートルという点です。

ローマ水道橋の中で最も高い「ポン・デュ・ガール」——48.8メートルの三層アーチ橋の驚異

ポン・デュ・ガール本体を見ると、全長274メートルの両端の間での落差はわずか2.5センチメートルしかありません。これは当時のローマの技術者が到達していた測量・施工精度の高さを雄弁に物語っています。さらに、ニームまで残る25キロメートルの下り勾配はたった6メートル。水が全行程を流れ切るまでには27時間を要しました。

帝国滅亡後も生き延びた「通行料の橋」

ローマ帝国の崩壊後も、この橋は失われることなく維持されてきました。その理由は、川を渡るための有料橋としての副次的機能にありました。司教や在地の領主たちが交代で運営・管理を担い、20世紀末に国家が保存管理を引き継ぎ、通行が完全に禁止されるまで、この役割は続いたのです。

モルタルなしで積まれた精密な石組み

ポン・デュ・ガールの幅は下部で9メートルあり、頂部では3メートルまで狭まります。また、三層ごとにアーチの数が異なるのも特徴です。他のローマ水道と同様、この橋はモルタルを一切使わずに建設されました。石材は摩擦だけで互いにぴったりと密着するよう、極めて正確に切り出されています。

ローマ水道橋の中で最も高い「ポン・デュ・ガール」——48.8メートルの三層アーチ橋の驚異

後代の水道橋との比較

興味深いことに、セゴビアの水道橋など後の時代のローマ水道では、技術者たちはより少ないアーチ数でほぼ同等の距離を架橋することに成功しており、建設費用や材料量の最適化が進んだことがうかがえます。

なお、元となった泉は今日も存在していますが、送水管は近代的な揚水施設に置き換えられました。