考古学的発見

ワット・パチャンタラム|サムットサコーン県境の古刹と赤砂岩仏「ルアンプォー・デーン」の伝承

地形と立地環境

周辺状況

ワット・パチャンタラムは水辺の平野部に位置しています。北側は「遠吠え犬運河(クロン・マーホーン)」に面し、南側と東側は農村道路や民有地に隣接、西側は都市運河(クロン・ムアン)と民有地に接しています。境内の面積は10ライ3ガン15平方ワー(約1.6ヘクタール)です。

海抜高度

平均海抜1〜2メートルの低湿地帯にあります。

水系

遠吠え犬運河、都市運河(クロン・ムアン)、メークローン川、ターチン川といった水路が寺院周辺を流れています。

地質条件

当地の土壌はターチン層に属する海岸性の塩性粘土です。肥沃度は高いものの、海水の浸入と、一年中ほぼ地表近くまで上昇する地下水位の影響で塩分を多く含んでいます(資料・公文書委員会、2000年:3頁)。

遺跡としての概要

時代・文化

歴史時代/ラッタナコーシン期(バンコク王朝期)/1917年(仏暦2460年)

種別

宗教施設(仏教寺院)

寺院の歴史

ワット・パチャンタラムは、マハーニカーヤ派に属する民間創建の寺院(ワット・ラート)で、1917年(仏暦2460年)に創建されました。周辺に暮らすモン族(ラーマン)とタイ人の住民たちは、この寺がサムットサコーン県とサムットソンクラーム県の境界線上に位置していたことから、「県境の寺(ワット・ボーダー)」という愛称で呼んでいました。その後、チョークン・スントーンクナコーンによって現在の「ワット・パチャンタラム」と改名され、今日に至っています。

1949年1月10日には、幅20メートル×奥行き40メートルの範囲に対し、「ウィスンカームシーマー(正式な戒壇の設置を認める王室承認区域)」が下賜されました。境内の伽藍建築の大部分は、近年になって建てられた比較的新しいものです。

ルアンプォー・デーン(赤い石仏)の伝承

現在、本尊として篤く信仰される「ルアンプォー・ブッタシラー・デーン(通称:ルアンプォー・デーン)」を祀る礼拝堂(ウィハーン)の修復工事が進められています。伝承によれば、この仏像は赤い石(赤砂岩)から造られたもので、アユタヤ王朝中期の作とされ、約400〜500年前のものといわれています。

かつてアユタヤの人々がこの仏像を献納し、バンコクのワット・プラトゥムガンの本堂(ウボーソット)に本尊として安置されていました。しかしある夜、ルアンプォー・デーンが夢の中で住職に現れ、「礼拝堂の外に祀ってほしい。人々や村人が気軽にお参りできるようにしたい」と告げたといいます。このお告げをソムデー(高僧)が住職に伝えたことをきっかけに、寺院はルアンプォーを、タイ様式で四方に出入口を備えた礼拝堂(ウィハーン)へ移して祀ることにしました。

ルアンプォー・シラー・デーンは、瞑想の姿勢(坐禅を組む形)で静かに坐す赤砂岩の仏像であり、今も多くの参拝者から厚い信仰を集めています。


文:パウィニー・ラッタナシリースック