考古学的発見

LiDAR測量が明かした1000年前のバイキング要塞――デンマークで60年ぶりの環状城塞発見

デンマークの首都コペンハーゲン南方で、10世紀の「ハーラル青歯王」の時代に建造されたバイキングの環状要塞が発見されました。LiDAR(航空レーザー測量)による空中調査が、その存在を明るみに出したのです。

LiDAR測量が明かした1000年前のバイキング要塞――デンマークで60年ぶりの環状城塞発見

写真内挿図:デンマークのバイキング要塞ボーリング。LiDARデータから作成された3Dレンダリング。

完璧な円形を描く要塞「ボーリング」

完全な正円――それはまるで「ひとつの指輪」。LiDAR(機載レーザー測量)を用いた航空調査により、コペンハーゲン南方、シェラン島キューエ近郊のボーリング(Borgring)と呼ばれる地点に、円形のバイキング要塞が存在することが確認されました。10世紀に整備されたこの遺構は、デンマークで約60年ぶりに発見された同種の記念碑的建造物です。

考古学誌『Antiquity』に発表された論文で、著者らはボーリングが「トレレボリ型要塞」と呼ばれる謎に包まれた要塞群ネットワークの一つであると論じています。この名称は、シェラン島スラエルセ近郊で最初に発見された原型となった遺跡にちなんだものです。

LiDAR測量が明かした1000年前のバイキング要塞――デンマークで60年ぶりの環状城塞発見

リング状要塞群の名の由来となった遺跡、シェラン島トレレボリ要塞の空撮。

軍事防衛のための巨大な環状城塞

トレレボリ型要塞は、軍事・防衛目的で造られた壮大なリング状の城塞です。木と土からなる堤防状の城壁を巡らせ、その外側にはV字形の濠が掘られていました。直径150メートルのボーリング要塞には、東西南北の四方に門が配置されていました。

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ボーリングのバイキング要塞の3D復元イメージ。© Peter Jensen Archaeological IT, Aarhus University

わずか数年のうちに築かれた5つの要塞

現在デンマークで知られている、こうした完璧な円形をした要塞は、フィルカト(Fyrkat、ホブロ近郊)、アゲルスボー(Aggersborg)、ノネバッケン(Nonnebakken)、そしていうなれば元祖であるトレレボリ(Trelleborg)に、今回のボーリングを加えたわずか5カ所だけです。

オーフス大学の考古学者ソーレン・シンドベック氏によれば、これらの要塞群は西暦975年から980年というごく短い期間に、ハーラル青歯王(Haraldr Gormsson、910~986年)の統治下で建設されたといいます。ハーラル王は、デンマークの統一とキリスト教化を実現した君主として名高い人物です。

なぜこれほど注目されるのか?

バイキングは従来、権力を争う小規模な社会集団の集合体と見なされてきました。ところが、これらの要塞はまったく同一の設計に基づいており、大規模な土木工事を伴います。これは、共通の目的のために結集した大勢の労働力が、何らかの計画当局の指揮の下で動員されたことを示唆しています。

しかも、すべての要塞が驚くほど似通った環境に立地しています。人口の比較的多い肥沃な地域の中心部、主要交通路の近傍、内部にロングハウス(長屋)を備え、外洋へ通じる川の河口付近、そして海からの攻撃を受けず、遠くからもよく見える目立つ場所です。

これらの要塞は、バイキング文化においてそれまで知られていなかった水準の組織化と中央集権化を物語っています。おそらく、強力な外部の敵――スラヴ人やゲルマン人――と向き合わなければならなかった、例外的な軍事情勢と結びついているのでしょう。

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毎年開催されるトレレボリ祭では、バイキング同士の戦いが再現される。© Nissen Mads /AP/SIPA

コラム:無線技術「Bluetooth」の名の由来

ハーラル青歯王は英語で「Bluetooth(ブルートゥース)」と呼ばれます。彼自身は、自らの死から1000年後、自分の名前が無線コンピューター接続技術の名称として世界中で使われることになるとは、想像だにしなかったでしょう。