キルギス、唯一の古代ミイラの再埋葬に科学界が猛反発
キルギス政府が、国内唯一となる約1500年前の女性ミイラを土中に再び埋葬する決定を下し、世界中の科学者たちが激しく反発している。中央アジアのこの国では今も迷信が根強く、当局が霊能者たちの主張に屈したとして、科学界から厳しい批判が浴びせられている。

写真:2017年9月20日、ニューヨークの国連本部にて。キルギスのアルマズベク・アタンバエフ大統領(当時)。
出自のほとんどが謎に包まれたこの女性ミイラは、収蔵されていた博物館から取り出され、2017年10月中旬、発見地である同国南部の地に急遽(きゅうきょ)再埋葬された。1956年に発見された場所である。この決定は政府委員会によって下されたが、委員会に参加していた唯一の考古学者は最後まで反対を貫いた。文化大臣トゥルグエルバイ・カザコフは、この決定について「遺物が科学者たちに長年放置されてきたこと」「良好な状態で保存する資金が国にないこと」を挙げて正当化した。
しかしこの説明は批判の嵐を呼び、アタンバエフ大統領の不快感をも買う結果となり、カザコフ大臣はついに土曜日、辞任に追い込まれた。
ソ連崩壊後に生まれ、政治的に不安定な国家
一部の観察者は、ミイラの埋葬と、退任する大統領の盟友スーロンバイ・ジェーンベコフが勝利した大統領選挙との奇妙な時期的重なりを指摘している。彼らによれば、この決定は、政治的に依然として極めて不安定な旧ソ連の共和制国家キルギスにおいて、迷信が政界に及ぼす影響力の大きさを浮き彫りにしているという。
ミイラの埋葬を求めたのは、特定の層に強い影響力を持つ同国の霊能者たちだった。彼らは「遺物を博物館に閉じ込め続ければ大惨事が起きる」と警告していた。霊能者の一人ザミーラ・ムラトベコワさんは、霊界からのメッセージを受け取ったと語り、AFP通信にこう述べた。「彼女は死んではいなかったのです。再び埋葬することで、選挙での流血事態を回避できました」。そのうえで、科学者たちによる掘り返しの呼びかけを「重大な過ち」と非難している。
一方、ミイラをめぐる委員会に参加した同国考古学の第一人者カディチャ・タシュバエワ氏は、この決定が「ペテン師たちの助言」に動機づけられたものだと糾弾する。「そういう人々は、カルト的で社会の周縁にいるだけだと考えられがちです。しかし彼らは声を上げ、国家までもがその主張に同調してしまうのです」と嘆く。
キルギスはイスラム教徒が多数派を占めるが、シャーマニズム的な慣習や迷信は今も広く浸透している。2011年には、国会議員たちが議事堂内で「悪霊」を祓う儀式として、羊7頭を生贄(いけにえ)に捧げたこともあった。
アタンバエフ大統領(当時)はミイラの埋葬を非難した。しかし、埋葬後に設置された議会委員会に参加した与党系議員の一人は、結局、遺物を地中に残すべきだと判断した。「彼女はキルギス人なのか。イスラム教徒なのか。このミイラについては何も分かっていない」――死亡時期は間違いなくイスラム教の成立より前だとされるこのミイラについて、リスクェルディ・モンベコフ議員はそう語った。「もう一度掘り起こすのは破壊行為だ」と同議員は、10月初旬の緊迫した国会審議で述べている。
「暗黒の時代」への懸念
世界中の考古学者たちは、今回の埋葬を科学にとっての歴史的後退だと非難している。「直ちにミイラを掘り起こし、博物館に戻すべきです」と、米ペンシルベニア大学のビクター・メア教授はAFP通信の取材に答えた。同教授は、キルギスと国境を接する中国側の地域で数百体が発見されている「タリムのミイラ」を研究してきた専門家である。専門家たちは、この地域の厳しい気候条件によって奇跡的に保存されたこれらのミイラこそ、人類の大移動の経路を解明するうえで不可欠だと考えている。
埋葬の公式な正当化理由の一つは、このミイラが「ごく普通の女性」のものであり、レーニン(!)のように保存に値する指導者ではない、というものだ。「性別は分かっていますし、かなり若くして亡くなったことも分かっています。DNA鑑定を行えばさらに多くのことが判明するはずですが、専門家が足りないのです」とタシュバエワ氏は語る。
同氏は考古学者仲間とともに、自称キルギス人霊能者たちが「ナンセンスな主張」でミイラの行方を巡る無益な論争に油を注いでいると非難する。「私たちは暗黒の時代へ向かう運命にあるのかもしれないと恐れています」