これは、まだ学術的な同定も命名もされていない、アロサウルスの近縁種にあたる大型獣脚類恐竜の、非常に完全な骨格である。
6月、パリで競売にかけられる謎の肉食恐竜
正体不明。「化石鑑定の仕事をするようになって以来、こんなものは見たことがありません」と語るのは、オークションハウスAguttes(アギュット)の自然史専門家エリック・ミケレール氏。彼が指すのは、ティラノサウルス・レックスやヴェロキラプトルといった有名な大型捕食恐竜を含む「獣脚類」に属する恐竜の骨格だ。同社によれば、この個体は70%以上が完全な状態で残されており、椎骨に見られる病理学的な痕跡から、かなりの高齢まで生きたとみられている。
この骨格が発見されたのは2013年、米国ワイオミング州の地層でのことだった。当初、発掘者たちはアロサウルスを掘り出したと思い込んでいた。骨が出土したのは後期ジュラ紀(約1億5700万~1億5200万年前)の地層であり、この時代、こうした大型捕食者はメガロサウルス類やケラトサウルス類と食物連鎖の頂点を争っていたからだ。しかし、全長9メートルに及ぶこの標本からすべての骨を取り出すには3回の発掘調査を要し、その過程で古生物学者たちは驚きの連続に見舞われることになる。
骨が特に良好な状態で保存されている恐竜の頭部のディテール ©Aguttes
まず、この怪物は、十数点の化石標本によって詳細に記録されている近縁種Allosaurus fragilis(アロサウルス・フラギリス)よりも歯が多い。通常アロサウルスの歯槽は15~17個なのに対し、この個体は18~19個も備えているのだ。「肩甲骨の細長化や、恥骨の間に大きな癒合を持つ、アロサウルスよりも頑丈な構造など、骨学的な違いも確認できます」とオークションハウスは説明する。「これは、まだ命名されていないアロサウルス類の新タクソン(分類群)である可能性があります」と語るのは、王立ベルギー自然科学研究所の研究者で、本標本の予備調査を行った2人のうちの1人である古生物学者パスカル・ゴドフロワ氏だ。
学び尽くされた化石ではない、すべてはこれから
「マンモスであれ獣脚類であれ、私たちは大小さまざま、完全度も保存状態もさまざまな骨格を日常的に扱いますが、そうした標本から科学がさらに学べることは、通常もうほとんどありません。今回の新しさは、科学的にはまだ何もかもがこれから行われるべきだという点なんです」とエリック・ミケレール氏は言う。実際、この骨格はこれまで2回の短い記載の対象となったのみで、本格的な科学論文としてはまだ発表されていない。では、競売にかけられた結果、この化石が個人コレクションに収まり、科学者の手の届かない存在になってしまうリスクはないのだろうか?
「その可能性は低いでしょう」とエリック・ミケレール氏は答える。「経験上、こうした品の購入者は、それを展示するために投資するのです。多くの場合、無償または有料貸し出しという形で、施設や博物館に展示されます」。実際、2008年に59万2000ユーロで落札されたトリケラトプスは、米国人パトロンによってボストン科学博物館に展示された。また、2009年4月に18万1000ユーロでリヨンの実業家に落札されたオフタルモサウルスは、モナコ海洋博物館に貸し出された。ただし、逆の例も存在する。2010年10月に欧州のコレクターが129万6750ユーロで購入したアロサウルスは、いまだに一度も公開されていないのである。
なお、この個体が本当に新種(あるいは新属)である場合、落札者は「科学的規則に従って」この恐竜の命名に貢献できるとオークションハウスは付け加える。さらに現在の所有者は、競売で得た金額の一部(4万ユーロ)を、野生動物保護に取り組む2つの団体――海洋保護団体シーシェパードと、チーターの保護活動を行うアン・ヴァン・ダイク・チーターセンター――に寄付する予定だという。
2018年3月15日から5月18日までリヨン=ブロットー地区のAguttesで公開展示された後、この骨格は同年6月2日から4日にかけてエッフェル塔1階に展示され、6月4日(月)午後6時に同所で競売にかけられる。推定価格は120万ユーロから180万ユーロである。