※写真はイタリアのロミート洞窟に残る原牛の彫刻。本記事で紹介する出土品そのものではありません。
このほどフランスにおいて、石板に刻まれた原牛(オーロックス)を描いた古代の彫刻が発見されました。年代測定の結果、この工芸品はおよそ3万8000年前のものとされています。
興味深いことに、この原牛は単独で描かれているのではなく、正体不明の抽象的な図形に囲まれるように表現されています。当時の人々が何を意図してこれらの図形を添えたのか、その意味については今なお謎に包まれています。
原牛(オーロックス)とはどんな動物?
原牛(オーロックス)は、かつてヨーロッパやアジアに広く生息していた大型のウシ科動物です。現在ではすでに絶滅していますが、その雄大な姿は各地の博物館で忠実に復元されており、目にすることができます。
私たちがよく知る雄牛や家畜のウシは、この原牛を先祖に持つと考えられており、原牛はいわばウシの「祖先」にあたる存在です。
先史時代における原牛の重要性
後期旧石器時代の人々にとって、原牛は力強さと豊饒さの象徴であるだけでなく、重要な狩猟対象でもありました。ラスコー洞窟をはじめとする有名な洞窟壁画にも原牛の姿はたびたび登場しており、当時の人々との深いかかわりがうかがえます。
石板に刻まれた彫刻という形式での発見例は少なく、今回の出土は先史時代の人類の芸術表現や精神世界を知るうえで、貴重な手がかりとなるものとして注目されています。