
チーズは、人類文明の夜明け以来、食卓を彩り続けてきた食品のひとつです。その誕生は、火の使用と同じように、まったくの偶然によるものであったと考えられています。
偶然から生まれた先史時代の料理
多くの研究者は、チーズの起源を先史時代にまでさかのぼらせています。当時の人々は、食用としてだけでなく、身を覆うためにも動物を狩猟していました。獣皮は先史時代の男女にとって唯一の「衣服」だったのです。
そんな中、殺した動物の胃の中に凝固した牛乳が残っていることに誰かが気づいたことから、チーズの歴史が始まったといわれています。
鍵を握るのは「レンネット」
この現象の正体は、レンネット(凝乳酵素)と呼ばれる酵素の働きです。反芻動物の胃に含まれるこの酵素が、牛乳のタンパク質であるカゼインを固める作用を持つことから、これがチーズ製造の基礎となりました。
つまり、チーズは狩猟生活の中での小さな観察から生まれた、人類最古の発酵食品のひとつなのです。