考古学的発見

プラン・ドンクー遺跡:タイ東北部に残るクメール文化の宗教建築

プラン・ドンクー遺跡の概要

プラン・ドンクー(Prang Don Ku)は、現在バーン・ドンクー集落が広がる台地上に位置する遺跡です。台地は約500×600メートルの規模を持ち、周囲の農耕地(水田)から約5メートルの高さに隆起しています。集落の北側には自然の小川が流れ、この小川は東方数キロメートルの地点でチー川へと合流します。

立地環境

プラン・ドンクーは集落の共有地として整備されており、敷地内には運動場、トイレ、プール、コミュニティホール、僧侶の住居、そして集落の信仰の対象である祠堂などが設けられています。周辺には民家や農地が広がっています。

遺跡として現在確認できるのは、ラテライト(紅土岩)製建築物の基壇部分のみです。

基本情報

  • 海抜高度:185メートル
  • 水系:チー川
  • 地質:白亜紀のマハーサーラカーム層(Mahasarakham Formation – KTms)に属する岩塩層の地形
  • 考古学的時代:歴史時代
  • 時代・文化:クメール時代(バヨン様式)
  • 考古学的年代:仏暦18世紀
  • 遺跡の種類:宗教関連遺跡

遺構の詳細

現在のプラン・ドンクー遺構は、ラテライト製建築物の基壇部分のみが残り、東を正面としています。平面プランは方形で、東側の正面には前廊(ポーチ)が設けられています。建物の規模は幅約8メートル、長さ約11メートルです。方形の部屋の中央部、すなわち礼拝の中心となる内陣(ガルバグリハ)には、約20~30年前に村人たちによって造営された降魔成道像(マーラを降伏させる姿の大型仏像)が安置されています。

プラン・ドンクーは本来、ラテライトで築かれた高層の塔状建築でした。ところが約20~30年前、遺跡周辺で骨董品を狙った盗掘者が建物中央部を深く掘り進め、大きな空洞が残されてしまいました。そこで村人たちは土を埋め戻し、盗掘痕を覆うように漆喰仏を造営しました。これには違法な発掘を防ぐ目的と、新たな礼拝対象とする目的がありました(タイ芸術局、2014年)。

建物内部の床面は砂利で整地されています。建物の南西部には大きな木が生育しており、その木陰の基壇上には木造の東屋(サラー)が建てられています。また、村人たちは古代建築の基壇を囲むようにレンガ塀を巡らせ、正面には扉のない出入口アーチを設けました。アーチには1982年(仏暦2525年)に建造された旨が記されています。

出土遺物と遺跡の性格

建物以外にも、周辺の村人たちによって土器の壺や破砕された砂岩製の柱座など、クメール文化に関わる遺物が出土しています。タイ芸術局(2014年)は、プラン・ドンクーをクメール文化の建築物であり、ジャヤヴァルマン7世の治世(仏暦18世紀頃)に建てられた旅人のための宿泊施設、あるいは施療院(アローヤサーラー)であると推定しています。