考古学的発見

赤はどこで生まれたのか?——人類最古の色「赤」の歴史

「赤はどこで発明されたのか?」という問いに対して、まず押さえておきたいのは、色そのものは人間が発明したものではないという点です。色は自然界にもともと存在するものであり、人類が手にしてきたのは、自然由来の物質から色素や顔料を取り出す「技術」だったのです。

石器時代から使われてきた赤の顔料

なかでも赤は、人類史上もっとも古くから使われてきた色の一つです。石器時代の人々はすでに赤い顔料を利用しており、その主な原料となったのはヘマタイト(赤鉄鉱)という鉄分を含む鉱物でした。ヘマタイトを砕いて粉末にすると美しい赤色が得られ、水や動物性の油脂などと混ぜ合わせて絵具として使用されていました。

フランスのラスコー洞窟やスペインのアルタミラ洞窟に描かれた有名な壁画にも、こうした赤系統の顔料が使われており、数万年前の人類がすでに色彩を表現の手段として活用していたことがわかります。また、洞窟画だけでなく、身体への装飾や儀礼、埋葬の際の彩りなどにも、赤土(オークル)が幅広く用いられた痕跡が各地で見つかっています。

まとめ:赤は「発明」ではなく「発見と活用」の産物

つまり、赤が特定の場所で誰かによって「発明」されたわけではありません。自然界に存在するヘマタイトなどの鉱物から顔料を作り出す知恵が、石器時代のさまざまな地域で独自に生まれ、受け継がれてきたのです。そうした意味で、赤は人類最古の色であると言えるでしょう。