ワット・ブンユエンとは
ワット・ブンユエン(Wat Boon Yuen)は、タイ北部の古都チエンサーンにある古代寺院遺跡です。かつて放棄されていましたが、発掘調査・修復・景観整備が実施され、現在では歴史を感じられる観光スポットとして整備されています。チエンサーン市街の北部、ヤントゥーン門(Yang Thoeng Gate)の近く、道路を挟んでワット・チエンマンの向かい側に位置しています。
立地と自然環境
標高は海抜約370メートル。チエンサーンはメコン川の西岸に位置し、第四紀に運ばれた砂や砂利などの堆積物によって形成された広大な「チエンサーン平野」の上に築かれています。近くを流れるメコン川は、古くからこの地域の交通と交易を支えてきた重要な水路でした。
時代と文化
この遺跡は歴史時代に属し、ランナー王朝期の文化に関わる宗教施設(寺院)です。
歴史
歴史記録によれば、ワット・ブンユエンは当時のチェンライ領主タオ・マハープロムによって仏暦1909年(西暦1366年頃)に建立されたと伝えられています。境内には350の仏舎利と330の阿羅漢の遺骨が納められたといわれています。その後、チエンサーンがビルマ勢力の支配下に置かれていた時代(西暦1794年)にも再修復が行われました。
なお、ワット・ブンユエンは現在も正式な古跡(古代遺跡)への登録は行われていません。
発掘調査で明らかになった遺構
タイ芸術局(Fine Arts Department)は2005年から2006年にかけて、この遺跡の発掘と修復を実施しました。その結果、礼拝堂(ウィハーン)と仏塔(パゴダ)からなる伽藍配置が明らかになっています。
ウィハーン(礼拝堂)
ウィハーンは長方形平面のレンガ造りで、東向きに建てられています。東側の正面と南側面に階段が設けられているほか、少なくとも2回の改修の痕跡が確認されており、長い歳月の中で幾度も手入れされてきたことがうかがえます。
仏塔(パゴダ)
仏塔はウィハーンの背後、すなわち西側に位置しています。現在残っているのは基壇部分のみですが、方形プランのレンガ造りであることが確認されています。
まとめ
ワット・ブンユエンは、ランナー期の歴史とビルマ支配時代の変遷を今に伝える貴重な遺跡です。ワット・チエンマンなど周辺の見どころとあわせて訪れることで、チエンサーンが栄華を極めた時代の面影をより深く味わうことができるでしょう。