考古学的発見

1863年に発明されたものは何?史上初の実戦潜水艦「ハンリー」の物語

1863年、アメリカ南北戦争のさなかに、海戦の歴史を大きく変える兵器が誕生しました。それが、人類史上初めて実戦で敵艦を撃沈することに成功した潜水艦「H・L・ハンリー(CSS ハンレー)」です。

南北戦争が生んだ革新的な兵器

H・L・ハンリーは、発明者ホレース・ローソン・ハンリーの名を冠した南軍(アメリカ連合国)の潜水艦で、1863年にアラバマ州モービルで建造されました。全長約12メートル、乗員は8名ほどで、船内の手動クランクを回してプロペラを駆動するという、極めて原始的ながら画期的な設計でした。

当時の潜水艦はまだ実験的な存在であり、運用には大きな危険が伴いました。実際、ハンリーは訓練中に二度沈没し、二度目の事故では開発者のハンリー自身も命を落としています。それでも南軍は、北軍による港湾封鎖を打破する切り札として、この潜水艦に大きな期待を寄せていました。

1864年2月17日、歴史的な戦果

1864年2月17日の夜、サウスカロライナ州チャールストン港沖において、ハンリーは北軍のスループ艦「USS ハウザトニック」へ攻撃を仕掛けました。艦首に取り付けたスパー魚雷(接触式の爆雷)で敵艦の船体を突き刺し、爆発させて撃沈することに成功したのです。

これは、潜水艦が戦闘において敵の軍艦を撃沈した史上初の事例となり、以降の海軍戦術や潜水艦技術の発展に多大な影響を与えました。ただし、攻撃の衝撃と浸水のため、ハンリー自身も帰還することなく沈没し、乗員8名全員が犠牲となりました。

現代へ受け継がれた遺産

ハンリーの残骸は、2000年8月にチャールストン港沖の海底から引き上げられました。現在はノースチャールストンの保存研究施設で修復作業が進められており、当時の乗員たちの遺品や船体構造から、19世紀の潜水艦技術を知る貴重な資料として注目を集めています。

1863年に生まれたこの小さな潜水艦は、多くの犠牲を払いながらも「潜水艦という兵器の可能性」を世界に示した記念碑的な存在といえるでしょう。