インドが誇る世界遺産「エローラ石窟群」。巨大な岩山を削り出して造られたこの遺跡は、一体どんな岩石でできているのでしょうか。答えは「玄武岩(げんぶがん)」です。
エローラ石窟群の素材「玄武岩」とは
エローラ石窟群を構成しているのは、暗色で細かい粒からなる火成岩の一種、玄武岩です。玄武岩は、マグマが噴出した後の溶岩が地表で急速に冷やされて固まることで形成される、ごく一般的な火山岩です。世界中の火山地帯に広く分布しており、エローラ周辺もその例外ではありません。
実は、エローラ一帯はかつて大規模な火山活動によって溶岩が何層にも積み重なった「デカン高原」に位置しています。この溶岩台地を形成したのが玄武岩であり、石窟群の材料となったのです。
なぜ玄武岩で石窟を造れたのか
玄武岩は硬い岩石ですが、まだ新しい層のうちには比較的彫刻しやすい性質を持っています。職人たちはこの特性を活かし、岩山の斜面に向かって手作業で掘り進み、洞窟、柱、仏像、さらには壮大な寺院までを岩そのものから削り出していきました。
仏教・ヒンドゥー教・ジャイナ教が共存する岩窟建築の傑作
エローラ石窟群は、インド西部マハーラーシュトラ州アウランガーバード県に位置し、インドにおける古代岩窟建築の最も重要な例の一つとされています。西暦5世紀頃から数百年にわたり、仏教徒、ヒンドゥー教徒、ジャイナ教徒の僧侶たちによって少しずつ彫り上げられてきました。
特に有名なのは、一枚の岩から丸ごと削り出された巨大なヒンドゥー教寺院「カイラーサ神殿」です。その規模と精緻さは世界建築史上でも類を見ないもので、訪れる人々を圧倒します。
まとめ
エローラ石窟群は、溶岩が急速に冷えて固まってできた玄武岩から造られた、世界でも類まれな岩窟建築の宝庫です。異なる宗教の文化が一つの岩山に共存する姿は、人類の創造力と信仰の力を今に伝える貴重な遺産といえるでしょう。