考古学的発見

ビクトリア砦はなぜ、どこに建てられたのか?その歴史と立地を解説

ビクトリア砦(Fort Victoria)は、19世紀末にイギリスが南部アフリカにおける権益を確保するために建設した軍事拠点兼交易中心地です。1890年、セシル・ローズ率いる英国南アフリカ会社(BSAC)の開拓部隊「パイオニア・コラム」によって築かれ、当時のイギリス帝国の君主であったヴィクトリア女王にちなんで命名されました。

ビクトリア砦が建てられた理由

ビクトリア砦は、単なる軍事基地ではなく、植民地経営の中核となる拠点として計画されました。その主な目的は以下の通りです。

1. イギリス権益の保護

当時、南部アフリカではポルトガル(モザンビーク側)などの列強による勢力拡大が進んでいました。イギリスはこの地域における自国の権益を守り、他国の影響力を排除するため、戦略的要所に砦を築く必要がありました。

2. 交易路の支配

内陸部と海岸部を結ぶ交易ルートの要衝に位置することから、砦は軍事拠点であると同時に、入植者や商人が集まる交易センターとしても機能しました。周辺地域の資源や商業活動を管理する拠点となったのです。

3. 植民地支配の足掛かり

ビクトリア砦は、後にローデシア(現ジンバブエ)と呼ばれる地域における最初の主要な恒久入植地の一つとなり、イギリスによる内陸部支配の出発点となりました。

ビクトリア砦の所在地

ビクトリア砦は、ジンバブエ南東部の都市マスヴィンゴ(Masvingo)に位置しています。モザンビークとの国境にも比較的近く、周囲を見渡す高台に築かれているため、周辺地域の監視に適した立地でした。また、ムティリクウィ川(Mutirikwi)流域に近く、水の確保にも恵まれた場所でした。

現在のビクトリア砦

独立後、この町は「マスヴィンゴ」と改名され、現在ではジンバブエ有数の地方都市として発展しています。世界遺産に登録されたグレート・ジンバブエ遺跡への観光の玄関口としても知られており、かつての砦の歴史を今に伝える街となっています。