古代都市ペトラの建設費用、具体的な数字は存在しない
古代都市ペトラの建設にかかった正確な費用を示す記録は、現存していません。ペトラは主に砂岩の岩盤を直接切り出して造られた都市であり、その建設は数世紀にわたって段階的に進められたためです。現代のような「工事費」の概念や金銭的な記録が残されていないことも、費用の算定を困難にしている大きな要因となっています。
ナバテア人の卓越した建設技術
ペトラを築いたのは、アラビア半島方面から移住してきた古代民族ナバテア人です。彼らは優れた建築家であると同時に、高度な技術を持つエンジニアでもありました。彼らが手掛けたのは単なる岩窟墓ではなく、極めて複雑で大規模なプロジェクトの数々でした。
中でも特筆すべきは水管理システムです。年間降水量が非常に少ない砂漠地帯にありながら、ナバテア人は水路、ダム、貯水槽、陶管などを駆使して雨水や湧き水を効率的に集め、都市全体に安定した水を供給することに成功しました。この技術こそが、アラビア半島と地中海世界を結ぶ交易の要衝としてペトラを繁栄させた最大の原動力といえます。
労働力と資源を必要とした大規模事業
アル・カズネ(宝物殿)やエド・デイル(修道院)に代表される王立の墓廟や神殿の建造には、膨大な労働力と資源が必要でした。硬い岩盤を削り出す作業、精緻なファサード(正面装飾)の彫刻、さらにヘレニズム様式と東方の伝統様式を見事に融合させた建築デザインなど、いずれも高い技術力と強固な組織力があって初めて実現できるものでした。
つまりペトラの建設は、金額では測れないほどの人材・資源・時間が投じられた、ナバテア文明の総力を挙げた国家プロジェクトだったのです。
まとめ
ペトラの建設費用を具体的な金額で表すことはできませんが、その価値は計り知れません。ペトラは1985年にユネスコの世界遺産に登録され、2007年には「新世界七不思議」の一つにも選ばれています。金銭では換算できない、ナバテア人の知恵と技術の結晶こそが、この古代都市最大の財産なのです。