幼い頃から育まれた「分け与える」心
ロンドン留学の切符を兄ヴィタルバーイーに譲ったのと同じように、ヴァッラブバーイーは自分が持っていたゴードラーの家をも、従兄弟のカシーバーイーに譲り渡しました。
この習慣は幼い頃からのものでした。家にお菓子や新しい服が届くと、彼はそれをきょうだいたちに分け与え、自分はそれだけで満足していたといいます。
彼の人格を支えた三つの要素
こうした振る舞いは、彼の人生を高める大きな力となりました。実はヴァッラブバーイーの性格には、三つの大きな特徴がありました。
第一に、頼まれれば誰にでも物を差し出すこと。第二に、家族を何よりも深く愛すること。そして第三に、自分のための物や便宜を決して求めず、そのことで誰かと争うことも決してなかったのです。
獄中でも貫かれた自己犠牲の精神
イェラワダ刑務所にガンディー(マハトマ・ガンディー)と共に収監されていたときも、ヴァッラブバーイーは自分の便利さや必要を後回しにし、ただひたすらガンディーに仕えることに専念しました。
自らが病に倒れたときでさえ、仮釈放(パロール)の申請を求めることを固く拒んだほどです。
権力の座を譲り続けた生涯
後年、ガンディーの意向に従い、国民会議派(コングレス党)議長の座を三度にわたって他の人々へ譲りました。
さらにインド独立後には、首相の座をジャワハルラール・ネルーに譲り、自らは厳粛な献身の精神で、生涯にわたり国家への奉仕を続けたのです。