ブッシュレンジャーとは?
「ブッシュレンジャー(bushranger)」とは、主に19世紀のオーストラリアで、荒野(ブッシュ)に潜み、強盗や脱獄などを繰り返したアウトローのことを指します。元々は流刑囚出身者が多かった彼らは、貧困や抑圧への反発から民衆の英雄として語られることも多く、現代でも映画や小説の題材として人気があります。
類似の存在はオーストラリア以外にも見られ、イギリスのハイウェイマン(追いはぎ)、アメリカの西部開拓時代の無法者、アイルランドの義賊など、各国にそれぞれの「伝説的アウトロー」が存在しました。ここでは、国・地域別に代表的な人物を紹介します。
オーストラリアの有名なブッシュレンジャー
ネッド・ケリー(Ned Kelly)
オーストラリア史上最も有名なブッシュレンジャーと言えば、やはりネッド・ケリーです。アイリッシュ系移民の家庭に生まれ、警察との対立を経てギャングを結成。1880年のグレンローランの戦いでは、自作の鋼鉄の鎧と兜を身につけて警官隊と戦った逸話で知られています。同年に絞首刑に処されましたが、「このような人生も悪くない(This is life such as it is)」とされる最期の言葉とともに、抑圧された者たちの象徴として今も崇拝されています。
ベン・ホール(Ben Hall)
「勇敢なベン・ホール(Brave Ben Hall)」の愛称で親しまれた、ニューサウスウェールズ州を中心に活動したブッシュレンジャー。金貨強奪などの大胆な強盗を重ねましたが、1865年に警察の銃撃により死亡しました。
キャプテン・サンダーボルト(Captain Thunderbolt)
本名フレデリック・ワード(Frederick Ward)。馬の盗難罪で流刑となった後、脱走して約6年間にわたりニューサウスウェールズ北部で活動した「紳士的な強盗」として知られます。
イギリスのハイウェイマン(追いはぎ)
ディック・ターピン(Dick Turpin)
18世紀イングランドで活躍した伝説的な追いはぎ。黒馬にまたがって一夜でロンドンからヨークへ疾走したという逸話は有名ですが、実際には後世の創作と考えられています。それでも、イギリスにおけるアウトローの代名詞的存在です。
クロード・デュヴァル(Claude Duval)
フランス生まれでイングランドで活躍したハイウェイマン。被害者の女性と優雅にダンスを踊ったという美談が残り、「紳士的な強盗」の典型として語り継がれています。
ジェームズ・ハインド(James Hind)
17世紀イングランド内戦期に活動した追いはぎ。王党派に協力したとされ、処刑後もその武勇伝が数多く語られました。
アメリカ西部の無法者
ビリー・ザ・キッド(Billy the Kid)
アメリカ西部開拓時代を代表するガンマン。若くして多数の男を殺害し、21歳という短い生涯で伝説となりました。
ジェシー・ジェイムズ(Jesse James)
南北戦争後、銀行や列車を襲撃したジェイムズ=ヤンガー・ギャングの首領。「西部のロビン・フッド」として民衆から英雄視された人物です。
サム・バス(Sam Bass)
テキサスを拠点に列車強盗を行ったアウトロー。1878年の銃撃戦で命を落とし、「サム・バスの歌」という民謡にその名を残しています。
アイルランドの義賊
ジェームズ・フレニー(James Freney)
18世紀アイルランドで「キャプテン(The Captain)」と呼ばれた義賊。地主階級のみを狙って略奪を行い、貧しい人々からは英雄として慕われました。
まとめ
ブッシュレンジャーやハイウェイマンといったアウトローたちは、法を犯した存在でありながら、当時の社会不安や権力への反抗という文脈の中で、民衆のヒーローとして物語られてきました。ネッド・ケリーに代表される彼らの伝説は、時代を超えて人々の想像力を掴み続けています。