トーマス・ロバート・マルサス(Thomas Robert Malthus、1766年〜1834年)は、イギリス南部の裕福な家庭に生まれました。父親は哲学者デイヴィッド・ヒュームやジャン=ジャック・ルソーと親交のある知識人であり、マルサスはそうした知的な環境の中で育ちました。
ケンブリッジ大学から国教会の牧師へ
マルサスはケンブリッジ大学ジーザス・カレッジで学んだ後、イングランド国教会の牧師となりました。牧師として活動する中で、当時深刻さを増していた貧困問題に強い関心を抱くようになります。
『人口論』の出版とマルサス主義の誕生
1798年、マルサスは『人口の原理に関する一試論』(いわゆる「人口論」)を発表しました。この著作の中で彼は、人口と生活資源の関係について次のように論じています。
- 人口は非常に速いペースで増加する一方、食料などの資源はそれに見合うほどには増えない
- その結果、世界の人口に対して資源が不足し、飢饉などの災厄が引き起こされる
この観察に基づき、マルサスは出生数を抑制することで人口増加を制御すべきだと主張しました。ここに「マルサス主義」と呼ばれる思想が誕生します。彼の人口理論は、後の経済学のみならず、ダーウィンの自然選択説などにも大きな影響を与えたことで知られています。
経済学者としての歩み
1805年、マルサスはヘイルベリー・カレッジにおいて歴史および政治経済学の教授職を得ました。さらに1811年には、同時代を代表する経済学者デヴィッド・リカードと出会います。両者は以降、活発な書簡のやり取りを続けながら地代論や価値論などをめぐって議論を重ね、マルサスはその中で自らの理論を一層深めていきました。
晩年
マルサスは1834年、バースにて68歳でこの世を去りました。
基本情報
- 生没年:1766年〜1834年
- 職業:牧師、経済学者