ティトゥス・リウィウスとは
現在のイタリア北部パドヴァの裕福な家庭に生まれたリウィウスは、雄弁術を教える修辞学者のもとで教えを受け、さらに哲学を学ぶためにローマへと向かいました。
初代皇帝アウグストゥスは彼を側近のサークルに迎え入れ、後の皇帝となる息子クラウディウスの教育を託したとも伝えられています。またアウグストゥスは、国民的アイデンティティを醸成するために国家の歴史を書くようリウィウスに依頼しました。
これを受けてリウィウスは、紀元前27年から全142巻に及ぶ大作の執筆に着手します。この著作は彼の生涯そのものを占める事業となり、そのため旅に出ることもほとんどなかったといいます。
『ローマ建国以来史』(Ab Urbe Condita Libri)
『ローマ建国以来史』(ラテン語原題:Ab Urbe Condita Libri)は、叙事詩的な格調と高い完成度を誇る傑作です。内容はローマの原始的な起源から共和政の時代までを網羅しています。
この歴史書が生まれた背景には、紀元前44年のユリウス・カエサル暗殺後に続いた内乱の時代を経て、ローマ政治のイメージを立て直す必要があったことがあります。民衆には偉大な物語が求められていました。そこでリウィウスはローマの栄光を描くことで、帝国に奉仕したのです。
リウィウスは紀元後17年に亡くなりました。それは、生涯にわたって彼を保護し続けたアウグストゥスの死(紀元後14年)のわずかな後のことでした。この金字塔的な作品によって、リウィウスはローマにおける歴史的ナショナリズムを体現する存在となったのです。
プロフィール
生没年:紀元前59年 – 紀元後17年
職業:作家、歴史家