結論:制式採用はされていないが、一部部隊では使用された
第二次世界大戦中、イギリス陸軍はトンプソン短機関銃を正式な制式装備としては採用していません。イギリス軍が標準的な短機関銃として主力に据えたのは、自国で設計・製造された「ステン短機関銃」でした。ただし、これはトンプソンが一切使われなかったという意味ではありません。実際には、開戦初期や一部の精鋭部隊において、トンプソンが配備された例も存在します。
なぜイギリス軍はステンを選んだのか
1940年のダンケルク撤退後、イギリスは深刻な武器不足に直面しました。当初はアメリカからトンプソン短機関銃を緊急調達しましたが、一丁あたりのコストが高額で、大量装備には不向きでした。そこでイギリスは1941年、極限まで簡素化した自国製短機関銃「ステン」を採用します。ステンは安価で大量生産に適しており、歩兵部隊だけでなく、装甲車両の乗員や空挺部隊など幅広い部隊に支給されました。
トンプソンが使われた場面
コマンド部隊や空挺部隊などのエリート部隊では、高い信頼性と火力を評価され、トンプソンが好んで使用されました。ノルマンディー上陸作戦では、イギリス空挺部隊の一部将兵がトンプソンを携行した記録も残っています。しかしながら、イギリス歩兵の基本装備はライフル(リー・エンフィールド)であり、短機関銃といえばステンが圧倒的に主流でした。
まとめ
イギリス歩兵の標準的な短機関銃はトンプソンではなくステンでした。トンプソンは特定の部隊や限られた時期に使用されたものの、イギリス軍全体を支えたのは、安価で量産性に優れた自国製のステン短機関銃だったのです。