答え:自叙伝
逃亡奴隷だったフレデリック・ダグラス(Frederick Douglass)が出版したのは、自叙伝です。その代表作は、1845年に刊行された『アメリカ奴隷フレデリック・ダグラスの生涯の物語』(原題:Narrative of the Life of Frederick Douglass, an American Slave)です。
自叙伝の内容と背景
この本は、ダグラス自身の実体験に基づき、メリーランド州で奴隷として生まれ育った幼少期、過酷な労働と暴力の日常、密かに読み書きを習得した経緯、そして1838年の脱走劇までを赤裸々に描いています。当時、逃亡奴隷が実名を公表して自伝を出版することは再び捕らえられる危険を伴う行為でしたが、ダグラスはあえて本名で執筆し、奴隷制の残酷な実態を世間に訴えかけました。
ベストセラーとしての影響力
出版されるや否や大きな反響を呼び、わずか数年で数万部を売り上げるベストセラーとなりました。欧州でも翻訳され、アメリカ国内にとどまらず国際的な奴隷制廃止運動(アボリショニズム)における重要文献となりました。この成功により、ダグラスは19世紀アメリカで最も影響力のある黒人指導者・演説家の一人としての地位を確立します。
その後のダグラスの歩み
自伝出版後もダグラスは精力的な活動を続け、演説家・ジャーナリスト・編集者・外交官として多方面で活躍しました。彼の自伝は後に「My Bondage and My Freedom」(1855年)、さらに「Life and Times of Frederick Douglass」(1881年)へと改訂・拡張され、奴隷制の歴史を語る上で不可欠な記録として今日も読み継がれています。