1926年スタンディング・リバティ・クォーターとは
スタンディング・リバティ・クォーター(立像自由の女神25セント銀貨)は、アメリカ合衆国造幣局が1916年から1930年にかけて鋳造した25セント硬貨です。表面には流れるような衣をまとった自由の女神が堂々と立ち、裏面には翼を大きく広げた鷲が描かれた、美術的価値の高いデザインで知られています。
右隅の「M」マークの意味
結論から言うと、1926年クォータードルの下部、女神の足元付近に刻まれた「M」は、デザイナーである彫刻家ハーマン・アトキンス・マクニール(Hermon Atkins MacNeil)のイニシャルです。「Mint(造幣局)」を表す記号ではない点に注意しましょう。
このモノグラムは、壁の基部の地面線のすぐ上に小さく刻まれており、設計者の署名として組み込まれたものです。位置がわかりにくいため見落とされがちですが、真贋鑑定やコンディション評価の際のチェックポイントの一つとなっています。
なお、当時のフィラデルフィア造幣局製の硬貨にはミントマーク自体が刻まれない慣例でした。ミントマークのない1926年クォーターはフィラデルフィア製であり、同年にはサンフランシスコ造幣局製の「1926-S」も存在します。
デザインの特徴
表面
中央に立つ自由の女神が主役です。盾を持ち、オリーブの枝を掲げる姿が描かれ、周囲には「LIBERTY」の文字と13個の星が配されています。1917年のデザイン改訂後は、女神の胸元に鎖帷子(チェーンメイル)が追加されました。
裏面
翼を大きく広げて飛翔する鷲が中央に描かれ、胸元には星条旗を思わせる盾があしらわれています。周囲を13個の星が囲み、下部には「QUARTER DOLLAR」の額面表示があります。
鋳造史と基本データ
- デザイナー:彫刻家ハーマン・アトキンス・マクニール
- 前身:1892年〜1915年に鋳造されたバーバー・クォーターの後継
- 後継:1930年に生産終了し、1932年からワシントン・クォーターへ移行(同シリーズは現在も発行中)
- 素材:発行期間全体を通じて銀90%・銅10%。クラッド材への切り替えは1965年以降のワシントン・クォーターから
- ミントマーク:フィラデルフィア=なし/サンフランシスコ=「S」(1917年〜1930年の多くの年)/デンバー=「D」(1927年・1928年のみ)
まとめ
1926年クォータードル右下の「M」は造幣局の記号ではなく、デザイナー・マクニールの署名です。約15年間という短い発行期間ながら、美しいデザインと豊富なバラエティを持つこのシリーズは、今なお世界中のコレクターから高い人気を集めています。入手の際は「M」の有無やミントマーク、摩耗具合を確認するとよいでしょう。