結論から言えば、第一次世界大戦中に、第二次世界大戦でよく知られるような本格的な「配給手帳」は存在していませんでした。配給手帳による体系的な食料配給制度がイギリスで導入されたのは、第二次世界大戦中のことです。
第一次世界大戦中のイギリスの食料事情
第一次世界大戦(1914〜1918年)中のイギリスでは、ドイツ潜水艦による通商破壊作戦の影響で食料供給が逼迫し、店舗の前には長い行列ができるなど深刻な食料難が発生しました。政府は国民に「自発的な節約」を呼びかけたり、パンの消費を抑えるために小麦粉に米やジャガイモを混ぜる措置を取ったりしましたが、全国民を対象とする配給手帳制度は実施されませんでした。
限定的だった第一次大戦期の統制
ただし、大戦末期の1918年頃には、砂糖や肉、バターなどを対象として、一部地域で配給券を用いた強制的な統制が試みられたこともあります。とはいえ、それはあくまで限定的かつ暫定的なもので、国民一人ひとりに配給手帳を支給する本格的な制度ではありませんでした。
本格的な配給手帳は第二次世界大戦で登場
一方、第二次世界大戦では状況が大きく異なります。1939年9月の開戦を受け、イギリス政府は1940年1月からベーコン、バター、砂糖の配給を開始し、その後も肉、チーズ、卵など対象品目を段階的に拡大しました。国民全員に配給手帳が支給され、食料の公平な分配が図られました。この制度は戦後もしばらく続けられ、完全に廃止されたのは1954年のことです。
まとめ
第一次世界大戦中のイギリスには、第二次世界大戦のような配給手帳制度は存在せず、食料不足への対応は主に自発的な節約運動や限定的な統制にとどまっていました。配給手帳という形での本格的な食料配給は、第二次世界大戦中にイギリスで初めて全面的に導入されたものなのです。