「毛髪買い将軍」というあだ名の由来
アメリカ独立戦争期に、アメリカ人入植者の頭皮をアメリカ先住民から購入したとされ、「毛髪買い将軍(Hair-Buyer General)」というあだ名で呼ばれた人物として知られているのが、イギリス側の将校ヘンリー・ハミルトン(Henry Hamilton)です。彼は当時、デトロイト砦を拠点とするイギリス軍の副総督を務めていました。
歴史的な評価と議論
しかし、重要なのは次の点です。ハミルトンが実際に先住民から入植者の頭皮を購入したことを裏付ける確かな証拠は存在しません。
このあだ名は、主にアメリカ側(愛国者派)によるプロパガンダとして広まったものと考えられています。当時のアメリカ側指導者たちは、ハミルトンが先住民部族に報奨金を支払い、入植者への攻撃を扇動していると非難しました。これにより「毛髪買い」という悪名が定着したのです。
現代の歴史家の見解
現代の歴史学では、以下のような見解が一般的です。
- ハミルトンが先住民との同盟関係を維持するために物資や贈り物を提供していたことは事実
- しかし、頭皮そのものを対価として直接購入した記録は確認されていない
- 「毛髪買い」のイメージは、戦時中の敵方への宣伝工作によって誇張された可能性が高い
まとめ
つまり、「毛髪買い将軍」として語られるのはヘンリー・ハミルトンですが、これはあくまで当時のプロパガンダによって広まった呼称であり、実際に頭皮を購入したことを示す歴史的証拠はない、というのが現在の主流な見方です。歴史上の「悪名」には、政治的な意図が込められていることも多い――この逸話はその好例といえるでしょう。