「逆説の十箇条」が作成されたのはいつ?
「人は本当に助けを必要としている人を攻撃するかもしれない。それでも、助けなさい」「あなたが成功すれば、偽りの友と本当の敵を得ることになる。それでも、成功しなさい」。こうした逆説的でありながら力強いメッセージで知られる「逆説の十箇条(The Paradoxical Commandments)」は、1968年にアメリカの作家ケント・M・キース(Kent M. Keith)によって書かれた作品です。
当時ハーバード大学に在学中だったキースは、高校生の生徒会役員向けに執筆したリーダーシップの手引き『Silent Revolution: Dynamic Leadership in the Student Council』の中で、この文章を初めて発表しました。「世界を変えるには大きな行動が必要だ」と考えがちな若者に対し、身近な小さな行動の積み重ねこそが変化につながるという思いを込めた言葉だと言われています。
マザー・テレサとのつながりで広まった
この文章が世界的に知られるようになった大きなきっかけとなったのが、マザー・テレサとの縁です。彼女はインド・カルカッタ(現コルカタ)の児童養護施設の壁に「逆説の十箇条」を掲示しており、そのことから「マザー・テレサの言葉」として各国へ広まりました。作者がキース本人であることが改めて確認されたのは1990年代に入ってからで、それまで長い間、出典不明の名言として流布していました。
「デジデラータ」との混同に注意
「逆説の十箇条」とともによく話題に上るのが、散文詩「デジデラータ(Desiderata)」です。こちらは1927年にアメリカの詩人マックス・アーマン(Max Ehrmann)によって書かれ、没後の1948年に出版されました。
両者は「困難があっても前向きに生きろ」という趣旨のメッセージが似ているうえ、どちらも作者不明のまま広まっていた時期があるため、「いつ・誰が作ったのか分からない」というイメージを持たれやすい作品です。しかし実際には、それぞれ異なる時代に異なる作者によって書かれた別々の作品なので、引用する際には注意しましょう。
まとめ
「逆説の十箇条」は1968年、ケント・M・キースが学生リーダー向けの冊子のために書いた文章です。マザー・テレサが掲示したことで一躍有名になり、今も世界各地で読み継がれています。1927年生まれの「デジデラータ」とは別作品なので、混同しないようにしましょう。