アメリカ建国の父の一人であり、政治家・外交官として名を馳せたベンジャミン・フランクリンは、同時に優れた発明家でもありました。避雷針をはじめ数多くの実用的な発明で知られていますが、そのすべてが成功したわけではありません。ここでは、フランクリンの発明の中でも、期待ほどには普及しなかったものや、後世になって評価が揺らぐことになったものをご紹介します。
1. ペンシルベニア暖炉(フランクリン・ストーブ)
ペンシルベニア暖炉は「フランクリン・ストーブ」としても知られる、効率性を追求した薪ストーブです。1740年代に考案されたこの装置は、従来の暖炉よりも多くの熱を生み出し、煙を抑えることを目的として設計されました。
しかし残念ながら、フランクリンの期待ほどには成功しませんでした。その理由は、高い暖房効率を維持するために、頻繁な手入れとメンテナンスが欠かせなかった点にあります。当時の人々にとってこの手間は大きな負担となり、結果的に広く受け入れられるには至らなかったのです。
2. グラス・アルモニカ
グラス・アルモニカは、回転するガラス製の器を指先でこすることで音を奏でる楽器です。1761年にフランクリンが考案したこの楽器は、幻想的で透き通るような美しい音色を持つことで知られています。
しかしながら、その演奏は非常に難しく、習得には高度な技術が必要でした。このことが障害となり、一般への普及には至りませんでした。モーツァルトなど一部の作曲家がこの楽器のために作品を残したこともありますが、次第に演奏される機会が減り、歴史の中へと姿を消していきました。
3. 二重焦点眼鏡(二焦点レンズ眼鏡)
老眼と近視の両方に対応できる「二重焦点レンズ」の眼鏡は、今日でもしばしばフランクリンの発明とされています。実際、フランクリン自身が遠近両用の眼鏡を使用していたことはよく知られています。
ところが、その真の発明者は実はジョン・ハーシェル卿であるという説もあります。フランクリンに発明の功績が帰せられるのは、彼が二重焦点眼鏡の実用化と普及をいち早く進めた最初期の人物の一人だったためと考えられています。
まとめ
偉大な発明家と讃えられるフランクリンにも、世に広まらなかった発明や、後年になって発明者としての評価が見直されたものがありました。しかし、こうした「失敗」や波乱も含めて、彼の旺盛な探究心と創造性を物語る貴重な記録と言えるでしょう。失敗を恐れず挑戦し続けたその姿勢こそが、彼を歴史上最も影響力のある発明家の一人へと押し上げたのです。