1930年代は、科学と技術が急速に進歩した10年間です。物理学・化学・通信・交通といった幅広い分野で革新的な発明が次々と誕生し、その多くは現代の暮らしや産業の基盤となっています。ここでは、1931年から1940年までの主な発明を年ごとに振り返ります。
1931年~1940年の主な発明年表
1931年
サイクロトロン – アーネスト・ローレンスが発明した粒子加速器。強力な磁場によって帯電粒子を円形軌道で加速し、原子核研究に大きな飛躍をもたらしました。
電気シェーバー – ジェイコブ・シックが実用的な電気カミソリを開発・特許化し、毎日の身だしなみを大きく変える日用品として普及していきました。
1932年
電子顕微鏡 – マックス・クノルとエルンスト・ルスカが、光の代わりに電子線を使って試料を拡大観察する電子顕微鏡を開発。光学顕微鏡では見えなかった微細構造の観察を可能にしました。
中性子の発見 – ジェームズ・チャドウィックが素粒子の一種である中性子を発見し、原子核物理学の発展への道を開きました。
電子式テレビジョンシステム – ウラジーミル・ズヴォーリキンが陰極線管を用いたテレビシステムを開発し、本格的なテレビ時代への布石となりました。
偏光フィルターの研究 – エドウィン・ランドが光学研究に着手。この研究成果は、後にインスタントカメラとして結実することになります。
1933年
FMラジオ – エドウィン・ハワード・アームストロングが周波数変調(FM)方式を開発。AMラジオよりもノイズに強く、高音質な放送を可能にしました。
1934年
自動変速機(オートマチック・トランスミッション) – ゼネラルモーターズ(GM)が自動変速機の実用化を進め、のちにオールズモビルなどへ搭載されて量産化されました。誰でも運転しやすい自動車への大きな一歩です。
1935年
ナイロン – デュポンのウォレス・カロザース率いる研究チームが、世界初の完全合成繊維「ナイロン」を開発。ストッキングをはじめ多方面で使われ、合成繊維時代の幕開けとなりました。
1936年
レーダー – ロバート・ワトソン=ワットが航空機を探知する実用的なレーダーシステムの開発を推進。のちの防空技術の中核となりました。
実用ヘリコプター – ドイツのハインリヒ・フォッケが世界初の実用的なヘリコプター「Fw 61」の飛行に成功しました。
1937年
ターボジェットエンジン – イギリスのフランク・ホイットルがターボジェットエンジンの地上試験に成功。航空機の動力に革命を起こす発明の第一歩となりました。
2進法計算機 – ベル研究所のジョージ・スティビッツが「モデルK」と呼ばれる2進法の計算装置を作り上げ、デジタルコンピュータの先駆けとなりました。
1938年
ボールペン – ハンガリー出身のジャーナリスト、ラースロー・ビーローが、回転する小さな球でインクの流出を調節するボールペンの特許を取得しました。
ゼログラフィー(乾式複写) – チェスター・カールソンが乾式複写プロセスを発明し、共同研究者オットー・コルネイとともに世界初の複写に成功。のちのコピー機の基礎技術となりました。
1939年
ジェット機の初飛行 – ハンス・フォン・オハインが設計したジェットエンジンを搭載したハインケルHe 178が初飛行に成功し、航空史の新時代が幕を開けました。
テレビ放送の開始 – ニューヨーク万国博覧会の場で、NBCによる定期的なテレビ放送が始まりました。
単揚ヘリコプターVS-300 – イゴール・シコルスキーが単一ローター式ヘリコプターVS-300の飛行に成功し、現代ヘリコプターの基本形を確立しました。
1940年
カラー・テレビジョン – CBSが新しい方式によるカラー映像の伝送実験に成功し、将来のカラー放送への道を切り開きました。
電子顕微鏡の実用化 – ルスカらの研究成果をもとに、ドイツのジーメンスが世界初の商用透過型電子顕微鏡を製品化。物質を原子レベルで観察できる時代が到来しました。
まとめ
1931年から1940年の発明は、日常生活を豊かにする身近な道具から、科学の常識を覆う大型装置まで実に多彩でした。ナイロンやボールペンのような日用品、レーダーやジェットエンジンのような航空・防衛技術、そして電子顕微鏡やテレビといった情報・観察技術——これらはいずれも、20世紀後半以降のテクノロジー発展の礎となったものばかりです。