ベトナム戦争のさなか、ノーム・チョムスキー、シーモア・ハーシュ、I.F.ストーンといったアメリカを代表するジャーナリストや知識人たちによって、大統領に宛てた一通の手紙が書かれました。この手紙は1967年3月25日付の『ニューヨーク・タイムズ』紙に掲載され、戦争の即時終結を求める強いメッセージを発信しました。
手紙の背景
当時のアメリカでは、ベトナム戦争への関与が深まるにつれ、知識人層を中心に疑問の声が高まっていました。署名者たちは単なる反戦活動家ではなく、学界やジャーナリズムで高い評価を受ける人物ばかりでした。彼らが公の場で政権を批判したこと自体が、大きな衝撃をもって受け止められました。
手紙の内容
手紙は、ジョンソン政権による戦争遂行のあり方を痛烈に批判するものでした。その中心にあるのは、この戦争が「不必要であり、賢明ならず、非道徳的である」という指摘です。
さらに手紙は、メディアによる戦争報道の姿勢にも疑問を呈しました。戦争の実態に関する事実が「抑圧され、歪曲されている」として、報道機関の責任を問う内容となっています。
世論に与えた影響
この手紙はアメリカ国内の世論に大きな影響を及ぼしました。それまで沈黙していた多くの人々が反戦の意見を公に語り始めるきっかけとなり、世論の流れを反戦へと転換させる一助となりました。今日では、ベトナム戦争時代を代表する最重要文書の一つとして位置づけられています。
手紙からの抜粋
「わが政府は長きにわたり、歴史と道徳の双方から断罪される戦争に深く関与してきました。私たちは、ベトナムにおける戦争が誤りであり、不必要で、非道徳的であると確信しています。それは誤った前提に基づくものであり、人間の命に対する無謀で冷酷な軽視のもとで推し進められていると信じています。
私たちはもはや沈黙しているわけにはいきません。大統領および合衆国議会に直接、抗議の意を表明したいのです。多くのアメリカ国民が私たちと同じ懸念を抱き、この戦争が国をどこへ導こうとしているのか深く憂慮していることを、私たちは知っています。」