1909-S VDB ペニーの価値は?
1909年に発行された「S・VDB」付き1セント硬貨(リンカーン・ホイート・ペニー)は、アメリカの収集硬貨の中でも最も有名なキーデイトの一つです。サンフランシスコ造幣局(S)での発行枚数が約48万4,000枚とごくわずかにとどまり、さらに発行のごく初期にのみデザイナーのイニシャル「V.D.B.」が刻まれたという特別な経緯を持つため、コレクターからの需要が非常に高く、高額で取引されています。
この記事では、1909-S VDBペニーの見分け方や基本スペック、そして状態別のおおよその市場価値について詳しく解説します。
表面(オブザース)の特徴
- アブラハム・リンカーンの肖像が右向きに描かれ、肖像の切り欠き部分(トルケーション)の基部付近に「S」ミントマークが刻印されています。これはサンフランシスコ造幣局で鋳造されたことを示すマークです。
- リンカーンの頭上には「IN GOD WE TRUST(我ら神を信ず)」の銘が配置されています。
裏面(リバース)の特徴
- 上部の縁に沿って「UNITED STATES OF AMERICA」、その内側に「E PLURIBUS UNUM」が弧を描いて配置されています。
- 中央には額面の「ONE CENT」、左右には麦の穂(ウィート・イヤー)が対称にデザインされた、いわゆる「ホイート・リバース」を採用しています。
- 麦の茎の間、最下部にデザイナーのイニシャル「V.D.B.」が刻まれていることが最大のポイントです。このイニシャルは発行開始直後に世論の批判を受け、同年中に削除されました。そのためV.D.B.入りの硬貨は極めて少数しか存在せず、希少価値の源泉となっています。
素材・基本スペック
- 材質:ブロンズ合金(銅95%、錫・亜鉛5%)
- 重量:3.11g
- 厚さ:約1.35mm
- 直径:19mm
- 側面(エッジ):プレーン(無刻印)
デザイナーについて
この硬貨のデザインを手掛けたのは、リトアニア出身の彫刻家ヴィクター・D・ブレナー(Victor D. Brenner)です。彼のイニシャル「V.D.B.」が硬貨に刻まれている点が、このバラエティの名称の由来となっています。当初のデザインは造幣局の彫刻家たちによって一部修正が加えられており、裏面の麦の穂の意匠には、ジョージ・T・モーガンらが関与した痕跡が確認できると言われています。
状態別の価値目安
1909-S VDBペニーの価値は、保存状態(グレード)によって大きく変動します。あくまで市場の一般的な目安ですが、以下のような価格帯が参考になります。
- グッド(Good-4)程度:約700〜900ドル
- ファイン(Fine-12)程度:約1,000〜1,300ドル
- エクストリームリー・ファイン(XF-40)程度:約1,800〜2,500ドル
- アバウト・アンサーキュレーテッド(AU-50):約2,500ドル前後
- ミントステート(MS-60以上):3,000ドル以上
- MS-65レッド(赤色の光沢を残す未使用美品):10,000ドルを超えることもあり、最高グレードでは10万ドル超の落札実例もあります。
なお、これらの価格は市場動向により常に変動します。正確な査定を希望する場合は、PCGSやNGCといった第三者鑑定機関によるグレーディングを受けることをおすすめします。
まとめ
1909-S VDBペニーは、「少ない発行枚数」と「短期間で削除されたV.D.B.イニシャル」という二つの要因が重なり、アメリカ近代硬貨を代表するレアコインとなりました。人気が高い分、SミントマークやV.D.B.を偽装した贋作も存在するため、購入や売却の際は専門機関の鑑定を活用すると安心です。