ローマ帝国の歴史において、初代皇帝アウグストゥス(紀元前27年即位)から西ローマ帝国最後の皇帝ロムルス・アウグストゥルス(476年退位)まで、実に80人以上の皇帝が君臨したとされています。約500年にわたる帝国の歴史の中で、これほど多くの為政者が交代したことになります。
皇帝の正確な人数を特定するのが難しい理由
一方で、「正確に何人だったのか」という問いには単純に答えることができません。ローマの政治体制の複雑さや、複数の皇帝の在位期間が重なるケースが多かったためです。主な要因を見ていきましょう。
1. 共同皇帝(副帝)の存在
ローマでは複数の皇帝が同時に統治する制度が度々採用されました。特にディオクレティアヌス帝が導入した「テトラルキア(四分統治)」では、東西それぞれに正帝(アウグストゥス)と副帝(カエサル)が置かれ、同時に最大4人の皇帝が存在することもありました。
2. 内乱期の僭称者(簒奪者)
軍人皇帝時代(235年〜284年)など内乱が頻発した時期には、短期間で倒された僭称者や、地方で自立して皇帝を名乗った人物が多数現れました。彼らを歴代皇帝に含めるかどうかで、総数は大きく変動します。
3. 東西分裂後の扱い
395年の帝国分裂以降、コンスタンティノープルを都とする東ローマ帝国は1453年まで存続しました。どこまでを「古代ローマ」として数えるかという定義の違いによっても、答えは変わってきます。
まとめ
一般的な数え方では、西ローマ帝国滅亡までの間に80人前後、数え方によっては100人近くの皇帝が在位したとされます。政治体制の複雑さと在位期間の重なりがあるため、歴史学においても厳密な「正解」はないのが実情です。それでも、この膨大な数の皇帝たちの治世の積み重ねこそが、千年に及ぶローマの歴史を形作ったのです。